2008.01.27
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

地域で子どもを育てる力

株式会社内田洋行 教育総合研究所 梅香家 絢子

去年教員採用試験を受けた友人から聞いた話です。

1次試験のグループ面接で「信号を無視して渡ることについてあなたならどう指導しますか?」と質問された、とのこと。

もしみなさんがこの面接の場にいたらどう答えますか?


* * *


私だったら…と早速自分の考えを書いてしまいますが、、、
正直なところかなり悩みました。

とっさに思い浮かんだのは “ルール” です。

単純に「渡ってはいけない」と指導したところで中学生にもなれば「車が来ないことを確認すればいいんじゃないか?」、と返されてしまいそうです。。
そこでさらに指導できることと言えば、「社会というのは色々な人が集まって成り立っているもので、そこにはみんなが暮らしやすくするために決められた“ルール”がある」、ということ。
車が来ないという理由だけで1人、2人と渡り始めたら、その社会での“信号を守る”というルールの意義が薄れてしまう。
決められたルールを守ってこそ社会が成り立つ。
だからそれを守る必要がある。

自分がその面接の場にいたらそう答えるだろうな、と。


ただ同時に、そう答えながら疑問も覚えるんだろう…とも思ったんです。なぜならこれは“理論上の”指導だから。


* * *


通勤途中の人が行き交う駅前に買い物客で賑わう街中、日常の何気ない場面で信号無視をする人は意外と多いと思います。

「車が来ないことを確認して自己責任で渡っているのだから」
と大人は言うのかもしれません。
ただ、子どもへの指導という立場に“もし”なったとき果たして同じことを言えるのか?

こんなことから、いくら学校で指導しても子どもたちの日常でそれが定着する環境がなければその指導には意味がないのでは?
…と思わず不安になってしまったわけです。


* * *


学校という場で指導をするのは先生の役割。
その指導を定着させるのは地域の役割。

面接の質問からめぐりめぐって、
地域で子どもを育てる力って大事なんだ、と実感したのでした。


あらためて…みなさんがこの面接の受験生だったらどんな考えがめぐりめぐるでしょうか?

梅香家 絢子(うめがえ あやこ)

株式会社内田洋行 教育総合研究所
「開かれた学校づくり」の言葉に惹かれてこの道に。今は仕事を通して、全国の教育現場で実践されている様々な取り組みに驚き、学ぶと同時に、“企業の立場からできること”も学びながら活動する日々です。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop