2008.01.01
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担任と子どもの相性

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

 知り合いのお母さんが、こんなことを言っていました。
「うちの長男、5年生なんだけど、担任の若い男の先生が運動が好きで、運動のできる子ばかり得をするんだって。うちの子なんて運動が不得意だからいやがってて、体育のある日は学校に行きたくないなんて言うんだけど、どうすればいいのかしら。」
 もちろん、この若い先生が意識してえこひいきをしているとは思いませんが、ここには非常に重要な問題があると思います。

 傍目から見て、すばらしい指導をしているなぁ、と思う先生がいます。こんな先生は多くの子どもたちにも人気がありますが、それでも全員の子どもに好かれているわけではありません。その先生の指導方法に合わない子どもや保護者が必ずいるものです。

 私も現役時代、子どもたちに運動させることを重視していて、市主催の陸上大会やマラソン大会、駅伝大会に子どもたちを参加させていました。また、その一方で、運動が得意でなくても勉強が得意な子、図工が得意な子、働くのが好きな子に対してもできるだけの賞賛をするようにしていたつもりです。

 しかし、子どもや保護者はどう見ていたでしょうか。最初にお話しした、若い運動好きな先生と同じように見られていたかもしれません。

 自分では、どの子どもにも同じように親身になって賞賛したり叱ったりしていたつもりですが、本当にやらせたいこと、好きなことに対した時の態度は、それ以外の時と全く同じだったと言い切る自信はありません。そして、そうだとするならば、それは子どもにも悟られることではないでしょうか。

 担任が自分の得意分野を生かして指導することはとても大切なことです。反面、その指導に合わない子どもも必ずいます。自分では、すべての子どもたちを平等に指導しているつもりでも、指導に合わない子は辛い思いが多くなる可能性は高いのです。そんな子どもたちを常に意識し、『平等に接する』つもりのレベルでなく、『指導に合う子の2倍はよく見てあげる』くらいで、はじめて平等になるのではないでしょうか。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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