2007.12.18
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これからの小中学校が担うべき事

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

かつて、学校は勉強を教える場所、国家の方針に沿う人間を育成する場所でした。また、勉強は学校、しつけは家庭という役割が明確だった時代もありました。そして現在、学校の担う役割は何なのでしょうか。

 一部の保護者や、一部のマスコミが学校に求めるものの中には、どう考えても学校の役目とは思えないことも数多くあります。私が教師の現役時代に経験した例では
『お年玉の使い方を学校で決めてほしい。』
『朝、自分で起きられるように学校できちんと指導してほしい。』
などという要求が保護者からあったことがあります。もちろん、望ましい形を子どもたちに話す(指導する)ことは必要だと思いますが、この問題に関しては『使い方を決める』とか、『きちんと指導する』のは家庭の役目のはずです。家庭でのしつけや親子関係の部分を学校に責任を持たせようとすること自体、日本の教育の抱える大きな問題点でしょう。まぁ、こんなことを言う保護者は一部のはずですが、このような人たちは声が大きい(影響力が強い)ので、全体の意見のように聞こえてしまうのが困りものです。そんなことからも、学校が担う役割のはっきりとした線引きが必要だと感じます。

 上の例と逆に、現代の子どもを見ていると、これからは学校がしなければならない、これからは学校でしかできない、と思うこともあります。例えば、テレビゲーム(この呼び名も古い…、ゲームは携帯サイズのゲームに移行しています。)の問題。子どもたちがゲームに費やす平均時間は教師の想像を大きく超えているように思います。私のお店にやってくる小中学生は、必ずと言っていいほど携帯ゲームを持っていて、食事中でもやり続けています。そして、親はそれについて何も言わないことが多いのです。
「休み時間はテレビゲームをやらせてもよいのでは。」
「コミックが好きな子は、学校に持ってこさせてもいいのでは。」
という意見を持っている若い先生たちがいます。そして、そのメリットを力説するのですが、家庭と学校を同じ環境にすることが本当によいことなのでしょうか。ゲームをすることで考えられるデメリットは、運動不足や、集団生活を円滑に行うための能力の育成を妨げることなどが考えらます。今の子はサッカーチームなどに入っている子が多いから大丈夫、という意見もありますが、それだって割合からすれば過半数にはならないでしょう。でも、ゲームをしている子は大半なのですから、学校では、多くの友達と体を激しく動かす遊びの機会を数多く持たせることが必要だということになります。

 学校が担うべきこと、そして、教師が担うべきことは時代によって変化していかなければならないことでしょう。しかし、それは時代に流されることではないはずです。そのことをしっかりと見極め、社会から信頼される学校、教師であってほしいと思います。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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