2007.12.06
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「この2週間で、何か変わったことはありましたか?」、振り返ることで見えることもありますよね。

元徳島県立新野高等学校 教諭 中原 正治

 この前に原稿を書いてから2週間ほどが過ぎました。
 どんなことがあったのかな?と振り返って見ることにします。
 書き出して見ると、10項目にもなりました。ちょっと長いですが、よければお付き合いください。
 あわただしく過ぎていく毎日ですが、今日は久しぶりの雨が朝から降っています。心がなごむ感じがします。その時々で、雨も違った感じをもたらしてくれますね。

1)大学で共同研究していただいている先生が新野高校に来て、リナックスサーバーの設定をしていただきました。
 リナックスのサーバーを使って校内LANを活用しようという考えは何年も前から考えていたことです。今年ようやくの事で実現しました。この間に使い勝手もかなり初心者に優しくなってきているようですね。
 授業などで個人的に持っている「活用のイメージ」を実際の場面で使えるようにする(実装する)までには何段階かステップがかかります。生徒作品を校内のWebを使って掲示してみんなで干渉して活用する、というイメージですね。当然校内LANがそのフィールドになるのですが、校内LANは有効活用されているでしょうか?
「校内LANの活用」というテーマだけでもなかなか実践的にならないようです。

2)情報学会で実践報告の司会をしました。
 徳島商業高校の報告で、専門科目情報の取組が中心でした。教科「情報」の報告があまりありませんでした。実は必履修の「情報」は工業・商業などの実業科目では他の科目で読み替えることが出来ることになっています。実際は工業や商業の情報科目が実施されて、教科「情報」の「情報A,B,C」は、実施されていません。
 情報学会は、徳島県の高校の教科「情報」の免許を持っている教員で研修することを目的とした研修会です。
 研究会の担当校長は数学の校長がすることになっています。
 新しい教科「情報」ですから、なかなか実際に直面している課題に対応することが難しい状況です。
 担当する教員が情報を担当したことで「良かった」と思える環境をつくることが大切と思って、私は参加しています。

3)メディア・リテラシーの市民活動として第1回目のセミナーを実施しました。
 学校設定科目「メディア・リテラシー」の授業を進めるために、昨年、学校の先生に呼びかけてサークルを作ろうと思ったのですが、参加者が集まらず活動をスタートできませんでした。
 メディアを学ぶことは学校教育だけの課題ではなくて、情報化社会の大人の課題でもありますので、今年度は、徳島県の「県民ぷらざ」に登録して、勉強会をスタートしました。
 その1回目のセミナーを実施しました。一般へのPRを兼ねたセミナーでしたが、参加者は5名でした。
 集まらないという課題は昨年と同じですが、毎月の勉強会に参加している2人がセミナーのテーマを1本ずつ担当してくれました。みんなで話し合うことが出来たことを生かして、地道に続けられるようにしたいと思っています。

4)ご近所の結婚式に招待されて夫婦で行ってきました。
 いま、徳島で一番高いと聞いている結婚式場でした。フランス料理、ピアノの生演奏、・・・それなりに楽しく出来る工夫が施されていました。料理もそれなりに工夫されていてワインなどもちょっとおしゃれな感じに演出されていました。

 私はご近所では若年者の方なのですが、年配のご近所さんにとっては食べにくいメニューだったようです。
 箸が無いのでフォークとナイフが使いにくくて食べにくい。ご飯が無くて硬いパンだけで食べるものが無い。肉が生焼けだったので「焼直して!」と頼んだ。とか、頼んだのにしてくれなかったとか、生で食べる気がしなかった。などなど、あまり評判? がよくなくて・・・と、おばあさんからの情報でした。生活とつながりの無い料理はちょっときつかったのかなと思いました。
 ご近所の方を招待するときのことが、いっとき話題になりました。

 このときの体験だけで無く、今は色々な場面で、若い世代と年配の世代が「普通」と感じることや「大切」と感じることは、そのままでは一致しないものですね。でも、一致しないと地域社会としてのまとまりは失われてしまいます。
 私たちは、どのようにして一致させているのでしょうか? あまり考えもしないまま、過ごしてきていると思いませんか?

 答えは・・・・?? 私にはよくわかりませんね。

 きっと、教育もその一つでしょう。でも、今の教育がそのことを意識しているでしょうか?
 今流行の「学び」や「教え」も効率的で功利的で即物的な感じを受けます。

5)阿南市文化祭で裏千家茶道の茶席に一日参加して、久しぶりにお茶の点前をしました。
 着物に袴をはくのは久しぶりでした。
 朝、袴をはいて車に乗ろうか会場に着いてから袴をはこうかと迷いましたが、袴をはいて車を運転することにしました。結構、運転は出来るものです。背筋が伸びて普段とは違った感じの運転席からの景色でした。

 茶席は振袖の若い? お嬢さんたちが次々と点前をする中で私も順番が来ると点前をするという感じです。男性が少ないのが今ひとつ寂しい感じですね。

 今年は、幼稚園児がお茶を運びに参加しに来ました。第一印象はかわいくて、ほほえましい、のですが、しばらくすると周りの大人の様子が気になってきました。
 自分の子どもしか見ていないような母親が回りも気にせずに写真を撮ろうとして動き回ります。「いやだな」と思うのですが、声もかけにくく、点前をしている人や同席している他の人にとって「快い時間」ではなくなったと感じていました。

6)朝日新聞のモニターとして新聞を隅から隅まで読んでいます。
 朝日新聞の読者としてモニターになっています。
 感想を書くくらい簡単なことだ!と、思っていたのですが、いざ、このモニターに返信しようとすると書けなくなります。1週間の新聞をまた見直したりして、「よい記事」、「難点のある記事」としてコメントを書くのですが、毎回戸惑ってしまいます。

 「よい」と「難点のある」の基準は何だと思いますか?
 普段どのように新聞を見ていますか?

 新聞はいつも読んでいるのですが、改めて新聞と「向き合って」読むことの難しさを感じています。新聞だけでなくテレビもラジオもいつの間にか日常見ているメディアですが、このことについて学んだりしたことはありません。生活の中で何となくわかったような気分で使っているのです。

 メディア教育では、このようなことをしっかりと自分の視点で見ることを通して学びを作り出そうとしているのです。
 ケイタイやネットも生活の中で何となく使えるようになって使っています。テレビや新聞と同じように学校教育の課題とはされずに生活の一部になるのか、学校教育など何らかの学びを前提としたものとして社会のツールになっていくのか、どちらに進んでいくのでしょうか?

 難点のある記事には、次の理由選択肢がついています。
「分かりにくい」「データが足りない」「正確さに欠ける」「扱い方がおかしい(大きすぎる・一面に載るニュースではないetc)」「視点に問題がある」「写真・イラスト・見出しに問題がある」「その他」
です。
 このような視点で一度読んでみるのも、いかがでしょうか。

7)高校文化連盟の茶道部門が12月1日(土)2日(日)の二日間で、無事終了しました。
 今年も県内の茶道部の生徒たち200名以上が一同に集って茶席を実施して交流します。
 事務局を担当して10年になります。

 初めに実施する、開会行事では、200名以上の生徒が和室で正座してお話を聞くということになります。時間は20分ほどですが、私語一つせずに、シンとした空間に声が響く感じは、独特な素敵な深さを感じます。

 茶席では点前をするのは一人です。でも、茶席を支える裏方の水屋をするには10名以上必要です。表で見える活動と、それを支える見えない活動が一つになって、茶席が進みます。

 練習していても上手く出来ていないことは良くありますね。
 茶席で、お茶・お菓子を運ぶときの所作が・・・と、間違っている! と、その場で声を出して注意する方がいます。
 間違っていても、その場で指摘する必要があるのでしょうか?
 同席の客もお茶を楽しむ気分も薄れて、ちょっと・・・と、思ってしまいます。
 生徒の所作が気になれば、それとなく呼んで、声をかけるとか、その場の雰囲気を大切にするという配慮が欲しいものです。

授業との関係で少し振り返ると、次のようなことがあります。
8)1年生の情報Bの授業で、ブログをはじめました。
 フリーメールを登録して合わせてブログを作成するという課題です。
 ブログを書くことに戸惑ったり、なかなかかけないという生徒と、書いている内容がメールで友達とだべっているような内容で、授業として実施しているという実感が無いようなものだったりと、「ブログを情報発信のツールとして」というイメージには程遠い感じのスタートになりました。

 ブログは、私にとっては生活の一部ではありません。特に意識しないと日常は使わない活動です。
 高校生だけでなく小学生でもブログや携帯電話(メール)が生活の一部になっているという報道があります。

 私にとっては、必要に迫られて、仕方なく?(有効だからですが)使っています。
 使わなくても生活が変ることはありません。ブログ以外にメールなども同じで、使っているうちに、無いと「不便だな」と思うようにはなります。でも、無くても、それは不便なだけで、それはそれで別に我慢というほどでもなく、それなりに生活は出来るのです。生活の一部になっているとそうは行かないようです。

 若い世代では、それが無いと生活の一部が欠けてしまうということがあるのだろうと、ふと思うことがあります。ブログなどのネット社会のアイテムが生活の一部になっていたり、自分を構成している一部になっているのではないでしょうか。

9)学校設定科目「メディア・リテラシー」の授業では、カナダの高校生が送ってくれたビデオレターに返事を出すという形で、ビデオ製作に取り掛かっています。
 今日からビデオ撮影を始めました。生徒はそれなりに、わいわいがやがや取組んでいます。
 楽しそうな声も聞こえます。
 この楽しさをもっとは取り出せるような工夫や仕掛けを授業に取り入れたいといつも思います。

 メディアの教育では、生徒たちが生活しているポップカルチャーの内容を教材に取り入れることが大切だという考えがあります。
 私にとっては苦手な課題ですが、教えるという取組を通して、一番多くのことを私自身が学ばせてもらっているという気持ちで、進めています。

10)遠隔授業の設定に教育委員会の指導主事が二人も来校してCAI教室の設定確認をしてくれました。
 四国大学との連携授業として、ネット会議システムを使ってリアルタイムで大学の先生に高校の授業に入ってもらう取組になります。
 忙しくて、アイデアが形になっていないままの状態ですが、せっかくの機会なので冬休みあけには情報の授業で楽しく使ってみたいと思っています。

 来週から定期考査が始まります。
 あわただしく過ぎた11月も終わり、年の瀬の12月になりました。

 12月8日に、東京で実施されるNHKの教育放送企画検討会議(全大会)に参加することになりました。どんなのかな? と、興味津々です。
 せっかくの東京へ行っても、とんぼ返りになりそうです。

◆写真はいずれも高文祭茶道のときのもの。
(上)正座して話を聞いている生徒たち
(中)立礼席
(下)各学校の活動紹介ポスター
DSC00076_s.jpgDSC00080_s.jpgDSC00086_s.jpg

中原 正治(なかはら まさはる)

徳島県立新野高等学校 教諭
50代は、タイピングコンクールでシニアの部に振り分けられました。情報化社会に生きるのは若い世代も高年齢の世代も年齢に関係ないですね。情報と理科を担当しています。

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