2007.12.05
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

「保護者と理解しあうこと」について考える.

宮崎県えびの市立加久藤中学校 教諭 山下 豪一

 先日、近くのスーパーで「先生、ご家族でお買い物ですか。」と、声をかけられました。挨拶を交わした妻と子供たちから、「おとうさん、どちら様?。」と聞かれて、はっきり答えられない自分がいました。現在の勤務校の生徒の保護者であることは、間違いないとは思うのですが…、1年生の保護者?いや、2年生の…、3年生の…?!恥ずかしながら、明確に思い出せません。少し、落ち込むと同時に、保護者とのコミュニケーション不足を情けなく思いました。

なぜこのようになったのか。原因は、次の3つあるようです。

原因1
 副担任が3年連続である。
 
 学級担任であれば、家庭訪問、参観日の学級懇談や夏休みの三者面談等で、保護者と会う機会が多くなります。学担は保護者の顔を覚える機会が多いが、副担任ではその機会が限られてしまう。

原因2
 教科の担当クラスが、3学年の6クラスにまたがり、保護者とのかかわりが広く薄くなりがち。

 担当学年が1つの学年であれば、保護者の顔を覚える参観日が年に最低3回あるのだが、3つの学年を担当すると3分の1に減ってしまう。

原因3
 自分の子供が小・中に分かれて3人通っており,それぞれ所属する小学校のサッカー少年団と地区女子サッカーチームの練習の送迎が,毎夜のようにあること。また、私が中学校サッカー部の後援会長、妻が中学校のPTA役員を引き受けていること。

 長女の女子サッカーチームの練習が,毎週金曜夜に入ります。また、私,妻ともに、役員の会合は夜,しかも週末に集中しがちです。そのため,勤務校のPTAが主催する夜の行事に参加することが難しくなってしまう。その分保護者の方と顔を合わす機会が,ますます少なくなってしまうという悪循環になってしまう。

 私が生徒の保護者を知らないのですから,ましてや保護者のほとんどは,副担任の私を知らないはずです。これでよいわけがありません。保護者と教師がよいコミュニケーションが取れてこそ,生徒のためのよりよい教育ができるというものです。

 私には,苦い思い出があります。生徒とのちょっとした行き違いがあったのです。副担任が長かったせいで,その生徒の保護者とはほとんど面識がありませんでした。当然人情としては,近い間柄のほうを加勢しがちになります。誤解を受け,生徒のみならずその保護者との関係が,こじれてしまいました。結局は,間に先輩教員が入り,保護者の方と話し込んで,理解をしていただき、事なきを得ました。先輩教員から,保護者とコミュニケーションをとっておくことの大事さを懇々と諭されたのでした。
 身にしみてわかっていたはずのことを,子どものことで忙しくなったことにかまけて,いつの間にか忘れていたようです。

 先日,久しぶりにPTA役員の皆さんとの懇親会に出席させてもらいました。学校活動に対して好意的な意見,すこし厳しいご意見など様々でしたが,お酒のせいもあって本音の一端が私たちに伝わってきました。言うまでもなく,この会で得たことは今後の学校運営に大きく役立つものです。

 時間は作るもの。自分で作るものといいます。妻と話し合い,できるだけやりくりして保護者の方との会合に出席し,話す機会を増やそうと思いを新たにしました。

山下 豪一(やました ひでかず)

宮崎県えびの市立加久藤中学校 教諭
山下豪一(ひでかず)と申します。鹿児島,熊本両県に接する宮崎県西部のえびの市で、社会科を担当しております。校務のIT化に興味を持つ教員です。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop