2007.12.04
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私立中学を受験する子どもたちに対して

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

今回書くことは、私がいつも問題意識を持ちながら、どうすればよいかの結論を出せなかったことのひとつです。

 私は小学校教諭としての25年のうち、10回が6年生の担任でした。そして、そのたびに私立中学を受験する子どもに対して、クラスの中でどのように対処すればよいかについて悩みました。それは、クラスや学年ををうまく運営していくための課題のひとつとして重要だと思っていたからです。

 受験するにしても、まず小学校のことを優先する、という昔気質の保護者は少なくなってきたように感じます。5年生の段階で、塾の夏季講習があるので林間学校には参加できません、という保護者もいます。なんといっても塾の推薦で私立学校に入学できる時代です。堂々と、学校よりも塾を優先しないと希望校へは入学できませんよ、と言っている塾の先生も知っています。

学校行事やクラスの取り組みなどに参加できない(しない?)私立受験の児童はクラスの中で、特別視される場合が多いと思います。悪くすると、他の児童との間に溝ができることもあるでしょう。ある小学校では運動会で6年生が鼓笛演技をするために夏休みにも練習があるのですが、私立中学受験者はそれを免除されるのだそうです。しかし、その特例は、それ以外の児童や保護者からは不満の声が多いと聞きました。

私自身は中学受験のための塾どころか中学、高校でも学習塾やそれに類する講習に行った経験すら皆無です。だから大きなことは言えませんが、中学受験児童にかかる重圧は大変なものだということはわかります。親の期待を一身に受け、他の多くの子どもたちが遊んでいるときに塾通いし、学校では特別な存在に見られてしまう。保護者も含め、受験を隠したがる傾向がさらに他との溝を作ってしまうことも実際に多く目にしてきました。しかし、子どもに罪はありません。そんな中でもクラスの一員としてよりよい生活をさせていくのが担任の役目だと私は思います。

私が6年生担任の時にしていたことは、受験する者の苦労を他の児童にも理解させ、応援しようというムードを作ることでした。これは子どもたちだけを考えるならうまくいくことが多かったのですが、保護者からは不満がでることもありました。また、自分自身でも、それが最良の方法であるという確信も持てませんでした。もし、このことで上手なクラス経営をなされている先生がいたら、その実践を他の先生方に伝えることも大切なことだと思います。先生方はこの問題についてどう考えておられますか。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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