2007.11.20
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若い先生方に望むもの

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

ちょっと前に放送されたテレビ番組で、とても考えさせられたことがありました。その番組は、芸能人がある法案を提案し、賛成と反対の立場に分かれて論議した後、多数決で法案の可否を決めるというものです。視聴率の高い番組でもあり、これを読んでくださっている方も見ている人がいるでしょう。

その日に提案された法案は、『10年間、一般での社会経験がなければ学校の先生になれない』というもの(提案者の子どもの年齢から考えて、とくに小学校を指していたようです)でした。そして論議の後、賛成多数でこの法案は可決ということになりました。その理由を要約すると、『大学からそのまま先生になると、今の若者は考え方が未熟で、先生としては人生経験に乏しく、信頼できない。』というものでした。そのことを知り合いのお母さん方に聞いても、似たような意見が返ってきました。

この意見には当たっている部分もあるかもしれません。しかし、こんな法案が現実になったら、どんなことが起こるでしょうか。10年間の一般での社会経験が必要だとするなら、学校の先生になるのは早くて32歳。そうなると先生たちの平均年齢は単純に考えれば46歳くらいになります。46歳と言えば、小学校1年生にとっては、父母よりも祖父母に近い年齢になるかもしれません。

私が小学校の教師になった時代は、埼玉県では新採用をほとんど採らない年が続きました。私が37歳の時、勤めていたその小学校では、臨時採用の先生を除くと、私が最も若い教師でした。平均年齢も45歳をかるく超えていました。
 もちろん全員がそうではありませんが、ベテランの先生は変化を嫌う傾向があります。できるだけ『今まで通り』にしようとしがちです。つまり、教師の平均年齢が高いと新しい事への挑戦ができにくい環境になるのです。そして、それは学校から活気が失われる原因にもなりえるのです。学校は若い先生、中堅の先生、そしてベテランの先生がそれぞれの長所を合わせることにより、よりよい教育活動ができるのではないでしょうか。。

若い先生は、確かに経験不足で考えが浅い場合もあります。しかし、若さの持つエネルギーは大きな力となります。ベテランの先生にはない、がむしゃらさも、時には大きなメリットになるはずです。私の知る限り、若くてもすばらしい先生は数多くいます。教育に大きな変化をもたらそうとするなら、若い力は不可欠なものです。
 
若い先生方、未来の日本の教育を築いていく原動力となるのは、あなた方です。あなた方の活躍で、『若い先生は信頼できない』などという世評を吹き飛ばしてくれることを切に望みます。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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