2007.11.06
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『叱る』ための事前準備

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

 20年くらい前、体操のオリンピック金メダリストである具志堅幸司氏の講演会を聴く機会がありました。その時、具志堅氏の
「十分な結果を得るためには、十分な準備が必要です。目標とする結果が大きければ大きいほど、その準備も大きなものが絶対に必要だと思います。」
という言葉が心に残りました。その時の具志堅氏にとっての『準備』は、経験量や練習量を指したのでしょうが、教育の場合でも、その目標に合わせた準備が重要なのは同じはずです。

 子どもを『叱る』ことによって目標となる結果は、叱られた子どもが自分が悪かったことを反省し、それを繰り返さないようになることでしょうか。しかし、現在、この目標を達成することは簡単なことではないように感じます。

 学校以外の場所で子どもを連れた親の様子を見ていると、子どもが悪いことをしても叱らない親や、逆にいつもガミガミと怒っているだけの親が確実に増えていることを実感します。前者の子どもは、人前でもわがまま勝手な行動をします。後者の子どもは、もう親の言葉など聞こうともしていません。どちらの場合も、その子どもには『叱られる』理由は理解できていないようです。

 このような子どもが学校に入学し、教師から叱られたとしたら、素直に反省するでしょうか。もちろん、叱った後にその理由を説明してもまったく効果がないとは思いません。しかし、叱られたことを不快に思っている人間に説明しても素直に心に響きにくいことも確かなことでしょう。『叱る』ことがより効果を上げるためには、子どもが、それが悪いことである理由を理解させておく必要があります。

 本来なら、親が教えておかなければならないことだと思いますが、教師も『叱る』ための事前準備は、やはり必要不可欠なことです。結局は日頃の生徒指導が、個々の子どもたちの心にしっかりと届いていることが大切なのではないでしょうか。子どもを叱る前に、その事前準備をしっかりと行っていたかどうかを考えてみるだけでも、その『叱り方』は違ったものになるかもしれませんね。今、思い返すと、私自身は『効果的な叱り方』ができたことは少なかったように感じます。叱るための事前準備がまだまだ不十分だったのでしょう。

 先生方、難しい時代だと思いますが、心から応援しています。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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