2007.10.23
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心に余裕を持つことの大切さ

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー 高柳 新

 子どもが持っているよい部分を見て評価し、生かしていくことが大切なのは、教師なら誰もがわかっていることでしょう。良い部分をできるだけ多く見てあげられれば、ほめることも自然と多くなり、その子どもとの信頼関係も良好なものとなるはずです。当然、教育活動も効果的に行えるでしょう。

 しかしそれは、教師に心の余裕がなければできないことでもあります。心に余裕がないとき、教師は子どもの欠点ばかりに目がいきます。欠点ばかりに目がいけば、叱ったり、怒ったりすることが多くなり、子どもとの関係もうまくはいかないでしょう。

 小学校でも高学年の担任が続くと、いろいろな面で『やらせなければならないこと』が多くなります。それに追われて、いつの間にか心に余裕がなくなっていった経験を持つ先生は多いのではないでしょうか。その結果として、子どもを叱ったり、怒ったりすることが多くなります。もちろん、『叱る』と『怒る』は全く異なるものですが、回数が多くなれば子どもにとっては同じことです。
「先生、このごろ怒ってばっかり。」
とクラスの子どもから言われたことが、私が教師をやめた理由の一つでもあります。

 現代は教師の心の余裕をなくさせるようなことが多いのも事実でしょう。子どもや親の時代による変化。それに伴い世間の教師に対する目は厳しくなり、要求されること、監理されることが多くなりました。実際、20年くらい前の教師は、今ほど仕事に追い立てられることはなかったような気がします。そのことに対しては心から今の先生方に同情します。しかしだからといって、それが悪い形で子どもたちに跳ね返っては、やはり困ります。

 教師という職業は確かに大変です。しかし、誤解してほしくないことは、教師だけが大変な職業ではないということです。それぞれの職業には他からはわからない大変さがあるはずです。テレビでは、うまく儲けている人たちを取り上げて紹介する番組がよく放送されますが、そんな人たちは一握りです。実は、教師だって世間からは『恵まれた職業』と評価されています。銀行では、個人融資の相手として公立学校の教師夫婦は『Aランク』だそうです。私も教師は、やりがいのあるすばらしい職業だと思います。

 先生方、怒ることが多くなっていませんか。心に余裕がなくなったときのため、心がリフレッシュできるような趣味を持つことも必要なことだと思います。そして、何より教師という職業のすばらしさを忘れないでください。子どもの欠点ばかりを見る目ではなく、子どものよさが見える目を持ち続けるために。

高柳 新(たかやなぎ はじめ)

欧風カレー専門店『アルパッシェ』オーナー
四半世紀の小学校教師経験と小学生卓球チーム指導者として全国大会の出場経験。そして現在は、学校を外から見ることのできる立場を生かし、現場の先生方を応援したいですね。

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