2007.10.10
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『ええっツ!誰だったっけ???』教師生活18年目の悩み

宮崎県えびの市立加久藤中学校 教諭 山下 豪一

 早いもので、臨時任用の2年間を含め、ことしで教師生活18年目を迎えます。振返ってみると、長いようであっという間の18年でした。
 ふと思いつき、どれぐらいの生徒・保護者と付き合ってきたのか考えてみました。これまでかかわった人々を、担任教科の社会科を教えた生徒と、学級担任をしたクラスの保護者に限定して、クラスの平均生徒数を30人と考えて下記のように計算しました。

 18年間に教科を担当したクラス数:67クラス
       × クラス平均生徒数:30名 = 2,010人
 学級担任経験:8年間(8クラス)
  × クラス生徒:30名 × 保護者数:2人 = 480人

合計 2,490人

 その数の多さに,驚いてしまいました。今まで意識していなかった,教師生活の長さを実感した瞬間でもありました。思えば,最初に担任した生徒は,もう立派な青年に成長し,隣の中学校の教師になっていたり,総合的な学習で招く地域講師の中にも,教え子の名前が挙がったりする事も珍しく無くなりました。

 ところで,教師生活が長くなるにつれて,困った場面に出くわす機会が多くなった事に気付きました。とある地元スーパーでの出来事,

50代女性:「先生,お久しぶりですね…。お変わりないようで,お元気そうですね。いや、ちょっと体格が良くなられましたね。」 … 突然、50代の女性に声をかけられました。

私:心の中で『誰だっけ???』… と思い出せず、あせりながら、
「本当にお久しぶりですね,お母さんも以前に増して,美人になりましたね。」などと、冗談を交えながらも,必死で記憶の引出しをかき回して,誰だか思い出そうとします。

50代女性:「おかげさまで,A子も今年大学を卒業して,福岡で就職しました。部活の柔道で鍛えていただいたお陰で,元気にやっています。」

私:心の中で『ビンゴ!!飯野中で担任して,柔道部員だった○△A子のお母さんだ!』 …

 この事例はまだいいほうで、必死で思い出すヒントを探りながらも、結局誰だかわからず、とんちんかんな受け答えをしてしまう事が多いようです。
 最悪の場合、若い生命保険の外交員さんと、保険の商談をした別れ際に、
「先生、私の事忘れているでしょう。飯野中で、社会を教えて頂いた□○△B子です。あんなに社会頑張っていたのに、ショックだな。」
 もう、冷や汗タラタラ、しどろもどろ。私が、「いや、君がものすごくきれいな女性になっていたものだから、気付かなかった。…」と、どぎまぎフォローしても、何と気まずいことか…。

 まったく、生徒や保護者を覚えていない私が悪いのですが、何とかならないものか…。読者の保護者の方、また先生方。人の名前を確実に覚えておく方法、また、思い出せない相手を思い出す会話術、何かよい手立てが無いものでしょうか。
 最後に、教え子の皆さん、保護者の方々。2、490人を覚えておく事は、大変なのです。決して忘れたくて忘れているわけではないのです。能力の限界かもしれません、お許しください。

山下 豪一(やました ひでかず)

宮崎県えびの市立加久藤中学校 教諭
山下豪一(ひでかず)と申します。鹿児島,熊本両県に接する宮崎県西部のえびの市で、社会科を担当しております。校務のIT化に興味を持つ教員です。

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