日本語の擬音語・擬態語の豊富さは、教えているこちらが感心するほどです。あまりに数が多いので、当然学習者に合わせて選択するのですが、ここでよく聞かれるのが、「なぜカタカナとひらがながあるんですか」という質問。「ドンドン」と書けば擬音語、「どんどん」と書けば益々という意味の副詞・・・「ゴロゴロ」は雷の音や何かを引く音で、「ごろごろ」は何もしないという表現・・・
などとこじつけのような説明ができるわけですが、「とんとんと肩をたたく」「トントンと話が進む」とも書けるので、擬音語だからカタカナだということもありませんし、「ちょろちょろ流れる」や「雨がしとしと降る」などはひらがなで書くことが多いでしょう。
でも、まあ、何もルールがないというのもナンなので、大きい音、鋭い音はカタカナ(「ドカン」「バキューン」「ドポン」など)で、ソフトなもの、静かな音はひらがな(「ふかふか」「さらさら」「そよそよ」など)だという説明で逃げているのが現状です。
じゃあ、先生、「キラキラ」と「きらきら」は?
日本のコミック大好き学生たちはよく知っていますね。音じゃなくても同じです。
空の星は「キラキラ」で、あなたの瞳は「きらきら」よ。
また、同じ状態でも、大きい、重い場合には「てんてん」がつく、ということも話します。先の「どんどん」と「とんとん」「ごろごろ」と「ころころ」、夏の太陽は「ギラギラ」などですね。「まる」がつくと小さい感じになるものもあります。「ばたばた」と「ぱたぱた」「ひらひら」と「ぴらぴら」と、このあたりまで紹介すると、たいていの学生はもうおなかいっぱい。
それなのにコミック大好き学生は止まらない。
「フリフリ」と「ブリブリ」は違いますよね?
はいはい、確かに違います。
ただ、現実的なところ、医者にかかったときに痛みの表現などは便利なので、「ズキズキ」「ガンガン」「チクチク」「しくしく」などは教えておきます。このほか、中級者以上に必要なのは人物を表現することばです。外見から性格、歩き方に至るまでさまざまな副詞がありますので、たとえば「女らしい」と「女っぽい」をどうことばで表現するか、というような練習もします。ちょっと考えてみてください。結構難しいでしょう?
擬音語・擬態語は初級では動物の鳴き声を各国で比べてみて遊ぶ程度ですが、実はこれが中級へのとっかかりになります。鳴き声から音の表現へ、音から状態の表現へと広がっていくからです。初級の副詞は「とても」「たいへん」「ちょっと」「ぜんぜん」「いつも」「ときどき」といった、日常生活の会話でよく使うものだけです。書きことばになると程度を表すものだけでも「相当」「大層」「極めて」「断然」「よほど」「一層」というようにさまざまに使い分けなければなりません。このような豊かな表現に知的関心を持ってもらうことが、積極的な学びにつながっていくのではないでしょうか。
さて、9月も下旬になり後期の授業が始まりました。新しい学生たちを迎えて、また、ドキドキです。シビアな学生たちにもまれて、より成長したいと思っています。
そして、今回が最後の投稿記事となりました。コメントをくださったみこさん、ハポネサさん、51187さん、いそべさんをはじめ、皆さん本当にありがとうございました。
こういうときに日本語の「さようなら」はなんだか寂しいですね。語源は「(そうですか。)それならば」ということですから、文脈から判断して「私は引きます」みたいな消極的な別れですよね。あまりほかの外国語も知りませんが、ここは中国語が一番ぴったりします。
また、いつかどこかで。再見!!
などとこじつけのような説明ができるわけですが、「とんとんと肩をたたく」「トントンと話が進む」とも書けるので、擬音語だからカタカナだということもありませんし、「ちょろちょろ流れる」や「雨がしとしと降る」などはひらがなで書くことが多いでしょう。
でも、まあ、何もルールがないというのもナンなので、大きい音、鋭い音はカタカナ(「ドカン」「バキューン」「ドポン」など)で、ソフトなもの、静かな音はひらがな(「ふかふか」「さらさら」「そよそよ」など)だという説明で逃げているのが現状です。
じゃあ、先生、「キラキラ」と「きらきら」は?
日本のコミック大好き学生たちはよく知っていますね。音じゃなくても同じです。
空の星は「キラキラ」で、あなたの瞳は「きらきら」よ。
また、同じ状態でも、大きい、重い場合には「てんてん」がつく、ということも話します。先の「どんどん」と「とんとん」「ごろごろ」と「ころころ」、夏の太陽は「ギラギラ」などですね。「まる」がつくと小さい感じになるものもあります。「ばたばた」と「ぱたぱた」「ひらひら」と「ぴらぴら」と、このあたりまで紹介すると、たいていの学生はもうおなかいっぱい。
それなのにコミック大好き学生は止まらない。
「フリフリ」と「ブリブリ」は違いますよね?
はいはい、確かに違います。
ただ、現実的なところ、医者にかかったときに痛みの表現などは便利なので、「ズキズキ」「ガンガン」「チクチク」「しくしく」などは教えておきます。このほか、中級者以上に必要なのは人物を表現することばです。外見から性格、歩き方に至るまでさまざまな副詞がありますので、たとえば「女らしい」と「女っぽい」をどうことばで表現するか、というような練習もします。ちょっと考えてみてください。結構難しいでしょう?
擬音語・擬態語は初級では動物の鳴き声を各国で比べてみて遊ぶ程度ですが、実はこれが中級へのとっかかりになります。鳴き声から音の表現へ、音から状態の表現へと広がっていくからです。初級の副詞は「とても」「たいへん」「ちょっと」「ぜんぜん」「いつも」「ときどき」といった、日常生活の会話でよく使うものだけです。書きことばになると程度を表すものだけでも「相当」「大層」「極めて」「断然」「よほど」「一層」というようにさまざまに使い分けなければなりません。このような豊かな表現に知的関心を持ってもらうことが、積極的な学びにつながっていくのではないでしょうか。
さて、9月も下旬になり後期の授業が始まりました。新しい学生たちを迎えて、また、ドキドキです。シビアな学生たちにもまれて、より成長したいと思っています。
そして、今回が最後の投稿記事となりました。コメントをくださったみこさん、ハポネサさん、51187さん、いそべさんをはじめ、皆さん本当にありがとうございました。
こういうときに日本語の「さようなら」はなんだか寂しいですね。語源は「(そうですか。)それならば」ということですから、文脈から判断して「私は引きます」みたいな消極的な別れですよね。あまりほかの外国語も知りませんが、ここは中国語が一番ぴったりします。
また、いつかどこかで。再見!!
森 美抄子(もり みさこ)
京都外国語大学 非常勤講師
留学生たちに日本語を教えるのが仕事です。そして、日本語教育を学んでいる学生たちにその面白さと厳しさを伝えていくのも仕事です。人間だって宇宙人、日本語だって外国語。
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