2007.09.17
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

嵐の前の静けさ

横浜市立みなと総合高等学校 有馬 真由美

「せんせ~、もうすぐだね」
「そうね。あと10日だね」
「どきどきしてきちゃった。楽しみ」
「そうね~。楽しみよね。来週から準備で忙しくなるから、よろしくね」
「はい!まかしてください」

 カナダのバンクーバーから、わが校の姉妹校であるブリタニアセカンダリの生徒がまもなく来日する。学校が始まっていよいよカウントダウン状態の9月、ホストファミリーを引き受けてくれる生徒とすれ違うたびに、こうした会話が交わされている。17名のブリタニア生徒を、一部2家庭で担当し、合計19家庭で世話をする予定だ。すべて、過去実施したカナダ交流プログラムに参加した現役生徒の家庭である。

 異例のスピードでホストファミリーが決まった背景には、草の根交流を支える相互扶助の心がようやく浸透してきたことがあげられるだろう。交流プログラムの実施説明会などで、ホームスティでお世話になったら、その感謝の気持ちをぜひ今度はホストファミリーとなって返してくださいとお願いしている。住宅事情が厳しい中、受入れをするのは容易なことではない。それぞれの家庭が工夫して何とか受入れに努力をしてくれている。

 ほとんどの家庭がホストファミリー初体験なので、2週間近い受入れをスムーズに実施できるように、事前受入れ説明会を行う。言葉はもちろんのこと、食事、お風呂、生活習慣の違い、考えはじめたら不安の種はきりがないだろう。

 そこで、説明会の会場では、ホストファミリー同士の親睦を深めてもらい、それぞれ抱いている疑問や不安を吐き出してもらうのだ。特別なことはせずに、普通に接してください。イベントやエンターテイメントを無理に用意せずに、いつもと同じ休日を過ごして結構です。と説明しても、気まずくなるのを恐れてか、ついついめいっぱいスケジュールを詰め込んでお互いに疲れてしまうことがある。

 もてなすほうは、相手の反応が気になり、もてなされる方は期待に応えるべく、アクションたっぷりに感激してみせるからだ。そこで、来日直後の週末はホストファミリーにも参加してもらってみんなで鎌倉へ遠足に行く。鶴岡八幡宮や長谷寺の大仏を中心にのんびりと一緒に散策しながら、互いの心の強張りをほぐしてもらって、何もしない普通の時間を楽しめるゆとりを導き出そうという魂胆だ。

 さてさて、どうなることやら。心配しても仕方がないので、今はつかの間の静けさを楽しみ体力、気力を養うとしよう。

写真)わがクラスの生徒が描いた作品がポスターに採用!文化祭は9月29、30日に開催されます。もしよかったらバディの活動を見に来てください。
s-CIMG0757_s.jpg

有馬 真由美(ありま まゆみ)

横浜市立みなと総合高等学校
民間企業から教育現場に飛び込んで3年目。3年の担任として緊張の春です。中華街そばの地の利を生かし、お茶の間国際交流を生徒と一緒に取り組んでいます。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop