2007.08.28
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大きくなったら、象になる!?

株式会社アットマーク・ラーニング内 コーチングアカデミー 佐々木 宏

「大きくなったら象になりたい」

こんなことを言う幼児に出会ったとき、あなたならどう答えるだろうか。

「残念だけど、どんなにがんばっても人間は象にはなれないんだよ」

われわれ日本人は、そんな対応をするかもしれない。しかし、どうも欧米人は違う対応をするようだ。

「そう、象になりたいんだ。じゃあ、たくさん食べなきゃねぇ~」

と、言いながら、まずは子どもたちの気持ちを承認するようだ。

もちろん、子どもは年齢を経るにつれ、象にはなれないことを知る。しかし、いきなり「象にはなれない」と、現実を突きつけられたらどうだろう。「象」ならまだしも、「将来はオリンピックで金メダルを獲りたい」「医者になりたい」と、口にするたび、「そんなの無理」「もっと現実的になれよ」などといわれ続けたらどうだろう。子どもたちは挑戦するという意欲を失い、自分の力を過小評価し、好奇心すら失うことになるだろう。

学力的に問題のある生徒が、東大に行きたいと言い出すことがある。
わたしはそのときには、「東大か。入れたらいいね。じゃあ、そのためにはまずは何から手をつける必要があるかな?」と、彼らの夢を心から支援する。

結果不合格でも、それはそれで仕方がない。彼は本気で東大を目指すプロセスで、大きなことを学ぶからだ。目標を手に入れるためには、なんらかの代償を支払い、忍耐が必要だということを学ぶだろう。また、その真剣な姿は、周囲にも好影響を与えるに違いない。自己決定から生まれる自己責任の態度がそうさせるのだ。

では、仮に大人が現実的な目標を与えたらどうだろうか。それは彼の選択ではないので、学習への集中力も半減するだろう。他者が決定し、半減した力で合格した大学に入れたとして、彼は何を手に入れることができるだろうか。

ティーチングとコーチングの違い。それは前者が結果重視で、後者がプロセス重視であることだ。コーチは子どもたちが目標に向かい、自ら課題を発見し解決しようとするそのプロセスを承認する。「東大に入りたい」「大臣になりたい」「ノーベル賞を獲りたい」。大いに結構ではないか。コーチは、子どもの立てる目標のすべてを受けるのだ!

佐々木 宏(ささき ひろし)

株式会社アットマーク・ラーニング内 コーチングアカデミー
通信制高等学校の生徒をコーチする傍ら、そこで得た知識や経験を元に、教育業界にコーチングを普及させるため、東奔西走中! 共に研究してくれる仲間を募集しています!

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