2007.08.14
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体験を物語にする

株式会社アットマーク・ラーニング内 コーチングアカデミー 佐々木 宏

生徒の一人がAO入試を目指している。志望理由書で「高校時代に打ち込んだこと」を書く欄があった。彼女は、1年間続けたフードコートでのバイトのことを書いていた。内容的には、いきなりレジをまかされて戸惑ったけど、乗り越えることができたこと。アイドルタイムのときには、一人で店をまかされて、混雑したときにはパニックになることがあったこと。それらの困難を毎日日誌をつけたり、人に聞いたりしながら乗り切ったと書いていた。

内容としては悪くはないが、インパクトに乏しい。そこで、バイトを始めた理由を聞くと、

「1年のころ、無気力な時間をすごしていたので、変わらなきゃと思ってはじめたんです」

とのこと。この背景説明をすることで、「自分の弱さから逃げず、積極的に克服しようとする」彼女の姿をアピールできる。

しかしまだ弱い。あと5センチ。何かがたりない。
そこで、彼女がバイトでどのように変化を遂げたかも聞いてみた。

「バイトをやってから、自分自身で、こんなところが変わったなぁ~ということって、思い出せない?」

すると、

「バイト前までは、友達にも言いたいことをあまりいえなかったが、バイトをしてから、言いたいことがいえるようになった」

それはなぜかとさらに質問すると

「バイトの現場では、人に聞かなくては店を回せない状況だったので、好むと好まざるに関わらず、上司にいろんなことを聞きまくっていた。きっとそのことで、人に物事を聞く、リクエストするということに慣れたのだと思う」

このくらい書ければ、バイトを通して彼女が成長したことを説明できる。


たんなるバイトも、聞き出せばその背景にいろいろな生徒の思いや感動が隠されている。それをたんに「体験」として語るのではなく、「物語」として表現することで、生徒の進路選択の幅が広がってくるのが感じ取れる。

佐々木 宏(ささき ひろし)

株式会社アットマーク・ラーニング内 コーチングアカデミー
通信制高等学校の生徒をコーチする傍ら、そこで得た知識や経験を元に、教育業界にコーチングを普及させるため、東奔西走中! 共に研究してくれる仲間を募集しています!

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