2007.08.06
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大人の夏休み……?

横浜市立みなと総合高等学校 有馬 真由美

「せんせ~、もうバスに乗ってもいいですか?」
「へっ?まだ出発まで大分あるけど」
「へへへ、帰りこそ、男子より先にいちばん後ろの席を確保したいんです」
「ふーん。そういうこと。だいぶ早いけど。ま、遅れるよりはいいか」
「ありがとうございまーす」

 2期制の我が校も通常の約5日遅れでようやく夏休みが始まった。やれやれ一息……つく間もなく、夏休み早々2泊3日のサマーキャンプ引率に菅平高原へ行ってきた。1年から3年までの希望者34名が参加し、冬にはウィンターキャンプでお世話になるペンションに滞在して、夏の高原ならではの活動をする。

 メニューの中で、私の一押しは渓流釣りと渓流トレッキングだ。これは、胸の高さまであるゴムつなぎみたいなウェイダーを着用し、釣り名人の教諭にインストラクターとなってもらって、渓流を歩きながら釣りやトレッキングを楽しむというものだ。私は1年男子4人組と一緒に歩いた。澄んだ渓流のせせらぎと森林から差し込む日差しに包まれて、最初は控えめを気取っていた生徒たちも、次第にリラックスして笑顔がこぼれ、ずぶ濡れになるのもお構いなしに、急な流れをわざと選んで果敢に向かっていた。かくいう私も負けじと歩き、ずぶ濡れとまではいかないが半濡れ状態だ。

 その他のメニューはというと、湿原トレッキングやマウンテンバイク、テニスやゴルフ。旬の果実狩りにジャムつくり。そば打ち。自家製ドライフラワーを使用したリース作り。さらには早朝のレタス畑での農業体験とバラエティに富んでいる。夜は夜で、バーベキューをしたり温泉に入ったり、星空の下で花火を楽しんだり、川辺で蛍を愛でたりした。

 高原の涼しい風と豊かな緑に囲まれ、生徒も教員も自然にのびのびとしてくる。日ごろ保健室によく顔を出す生徒や何となく生気の欠けた生徒も含め、どの生徒も普段は全く見せたこともない表情を見せてくれた。屈託のない笑顔で声をあげてふざけあう姿は幼子のようだ。ゆったりした時間の中でたわいもない話をし、豊かな自然の姿に感動する。生徒と向き合う時間がなかなか取れない日常を考えると何という贅沢だろう。瞬く間に2泊3日はすぎて行った。

 正直言うと、教員になるまでキャンプなるものには縁遠い生活だった。団体旅行も団体行動も苦手な私にはたして務まるのかと、初めて引率をした昨年は内心ひやひやだった。それが今では生徒に「大人の夏休みって感じだね、せんせー」と言われる始末である。これって成長?それとも退行だろうか?

写真1:細い太いはご愛嬌。蕎麦の香りが生きてました。
写真2:日差しの降りそそぐウッドデッキで、プラムジャム作り。
s-CIMG0730_s.jpgs-CIMG0734_s.jpg

有馬 真由美(ありま まゆみ)

横浜市立みなと総合高等学校
民間企業から教育現場に飛び込んで3年目。3年の担任として緊張の春です。中華街そばの地の利を生かし、お茶の間国際交流を生徒と一緒に取り組んでいます。

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