2007.06.20
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「お母さん,いつ死ぬと?」 小学校での「命の大切さ」を伝える授業が伝えたものは…

宮崎県えびの市立加久藤中学校 教諭 山下 豪一

 通勤途中,地元MRT宮崎放送のラジオ番組で,ある小学生の母さんの出したメールが紹介されていました。

 学校から帰ってくるなり,小学生のお子さんが「お母さんは,いつ死ぬと?」と真顔で聞いたそうです。お母さんは,いぶかりながらも,「そりゃーわからんわねー。でも,いつかは誰もが死ぬわねー。」と答えたそうです。
 なぜわが子が唐突に母の死ぬときを聞いてきたのか。そのお母さんは,学校での様子を聞いてみると,「命の大切さ」を教える授業があったこと。その中で,“人は死ぬものであり,死は誰もが避けられないこと”を教わったことがわかったそうです。

 興味深く,ラジオに耳を傾けていると,最後に,その小学生がお母さんに対して,「いつまでも死なんでね。(死なないでね。)」と言ったとか。何かジーンと胸に来るものがありました。
 想像するに,小学校の先生は,人の死についてきちんと教え,そして,死は必然的に年長者から訪れるものであり,年長者を大切にしなければならないことを,授業で指導されたのだと思いました。

 そういえば,我が家でも似たような変化が,小学生の次女にあったような気がしてきました。
 「お父さん,またお菓子を買ってきて…。」「また,コーラを買ったでしょ。車のゴミ箱にペットボトルがあったよ。」「お父さん,またおかわり?食べ過ぎよ!」最近,次女は,甘いものが好き,自称“グルメ”(ただの食いしん坊?)の私に対し,大変口うるさく言います。そして必ず,小憎らしいことに,私が気にしだした“柔らかいお腹”をつつきながら言うのです。しかも「メタボになっちゃうよ!」といいながら。

 私はうるさく思っていましたが,このラジオを聴いて“はっ”としました。もしやと思いつつ,夕食の食卓で,「なぜ,お父さんの食べる事についてうるさく言うのかな?」と次女に聞いてみました。

娘「メタボリックで,お父さんが病気になったり,死んじゃったら悲しいじゃん。」
父「……………。」(感動のため,無言) 「ありがとうね。」(ああ…。やっといえた。)

 娘よ,許してくれ。そんな深い思いがあったとは…。明日から,コーラをやめる決心がついた私でした。

 ところで,この原稿を書いている今日は6月16日(土)です。
 次女が,母親に何か話しているのが聞こえてきました。

娘「おかあさん,父の日っていつだったっけ?」
母「うーん,明日じゃない?」

 ガーン!……………。その後の二人の会話は,ショックのあまり耳に入りませんでした。「父の日は明日だろう!。今ごろ気付いてどうする。妻よ!母の日には,俺はきれいなアジサイを忘れずにプレゼントしたじゃないか!娘よ!君は数日前から,母の日のプレゼントを作っていたじゃないか……。」 声にならずに,心の中で叫んでいました。

 小学校の先生方。ぜひ,「日の当たらない父親に,光を当てる教育」の実践をお願いします。

(掲載した写真は,加久藤中学校で行われた,命の大切さを伝える授業のひとコマです。)
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山下 豪一(やました ひでかず)

宮崎県えびの市立加久藤中学校 教諭
山下豪一(ひでかず)と申します。鹿児島,熊本両県に接する宮崎県西部のえびの市で、社会科を担当しております。校務のIT化に興味を持つ教員です。

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