2007.05.28
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地球祭で商人魂をみがけ

横浜市立みなと総合高等学校 有馬 真由美

 「いらっしゃいませ~。かわいいパンダちゃんの鉛筆はいかがですか」照り付ける日差しの下、生徒の呼びかけには今ひとつ覇気がない。
 「ちょっとちょっと、もっと元気よく言わなきゃ。振り向いてもらえないよ。で、いっぱい買ってくれるお客さんにサービスとかするの?3つで2つの値段にするとか。500円以上買ってくれたら、お茶をつけるとか?」
 「えっと……何もない……と思います」

 「あーすフェスタかながわ2007」の屋台村でのことだ。多文化共生を屋台村やパフォーマンス、展示などを通して、まずは身近に感じてもらうというイベントである。ざっと見渡しただけでも、アジア、中東、東欧の雑貨や食品の屋台が並んで、地球祭の縁日といった賑わいだ。ゆったりとした時間の流れの中で、さまざまな国の人が和気あいあいと楽しんでいる。

 みなと総合では、1年生から中国語の選択授業がある。授業を担当するカリスマ講師の温先生を慕う生徒は多い。先生が運営に携わっているこのイベントには昨年からボランティアとして参加。今年は念願の世界屋台村にも出店し、中華街でえりすぐった流行りの中国グッズを販売することになったのだのだが…。中国交流プログラムの上海で、百選練磨の地元商人を相手に値切った経験はどこへ。売る側になった途端にリセットされてしまったらしい。まあ、儲け度外視の経験優先だから良いとするか。

 「香りつきのパンダマスコット。今中国で大人気!いかがですか~~!」
 「暑い日にぴったりのうちわ。坊や、扇いであげたらお父さんカンゲキ!」
 ついに、根っからの大陸人の温先生と、昔マーケティングでならした血が騒いで押さえきれない私とが、売り込みを開始。側で圧倒されていた生徒もお客さんと接するうちに笑顔も出て、口も滑らかになってきたようだ。

 二日間の売り上げで、生徒の足代が何とか出るくらいの黒字になった。



写真1:内モンゴルの衣装を着てアピール。
写真2:各国の料理が並ぶ屋台は大賑わい。私はアラビア風ピタチキンサンドをいただきました。しかし食べ終わってから、写真を撮ってなかったことに気づきました。
写真3:大道芸人のボランティア。風船細工でプードルや動物を作って子供たちにプレゼント。
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有馬 真由美(ありま まゆみ)

横浜市立みなと総合高等学校
民間企業から教育現場に飛び込んで3年目。3年の担任として緊張の春です。中華街そばの地の利を生かし、お茶の間国際交流を生徒と一緒に取り組んでいます。

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