2007.05.10
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「今年の授業の色は見えてきましたか?」学校設定科目「メディア・リテラシー」の紹介

元徳島県立新野高等学校 教諭 中原 正治

早いもので、授業を始めて一ヶ月が過ぎましたね。授業の内容も本格的になってきているところと思います。2単位の選択科目中心で担当しているので、時間割によっては、まだ、ガイダンスが終わったところという科目もあります。
そろそろ、欠席の目立つ生徒が気になるところです。休みがちな生徒は、授業の雰囲気や流れがわからなくて、「つまらない」と思いがちになります。他の生徒との「違い」がとても大きいように感じるのも、そのようなときだと思います。

私の授業担当は情報の科目がほとんどです。今でも情報=コンピュータ操作なんて思っている人も多いですね。自分の担当科目とは関係が無いなんてのんきな先生もいます。本当の情報の課題は、情報化社会でメディアを自分との関わりで理解することと、コミュニケーションすることを学ぶことだと思っています。
最近、静かな中でも全体に説明していることを聞き取れない生徒が目立つようになっています。「さあ、(説明したことを)はじめよう!」と課題を取組むように声をかけると、「何するの?」と聞く生徒が案外多いですね。教師は、言葉を発しているのだけれど、生徒がどれだけ受け止めて行動できているか気になります。情報の授業に限らず、どんな授業でもですが、授業の中で、「伝える」ということ、考えてみると私たち教師はあまり真剣に考えていないかもしれないですね。

9科目の私の担当の中で、学校設定科目「メディア・リテラシー」という授業があります。今年は3年生21名が選択してくれました。3班に分かれて、テーマについて話をして、自分たちとメディアとの関わりから考えてみようという授業です。
授業の教材としては「私とメディア、私たちとメディア」「テレビコマーシャルとは何か」「テレビドラマと私たちの世界」「ニュース報道を読み解く」の4つのタイトルとビデオ製作を設定しています。
各タイトルには、4つのテーマのワークショップ的な活動(各テーマ3つ程度の活動)で構成されています。ビデオ製作では、昨年、カナダの高校生から「メディア・リテラシーの授業を学んで」のビデオメッセージを送ってもらい。自分たちもビデオメッセージを送りました。カナダの高校生は、1時間の授業で作ってくれた内容でしたが、こちらで返事のビデオを作るのに1ヶ月かかりました。今年も、取組みたい課題にしています。

授業は課題「私のメディア、私たちのメディア」で、3つの活動テーマを設定しました。
就学前・小学校(前半と後半)・中学校・高校と年代に合わせてどのようなメディアと関わってきたのか、どのような事件や出来事を覚えているのか、を思い出し、一人一人プリントに書き出してから班で話し合いをします。
私たち(オーディエンス)同じ高校生でも、一人一人が違ったメディアとの出会いや関わり、思い出があります。司会・記録・発表の担当を決めてから、内容に沿って話をして発表します。話し合いを通して、自分との違いに気づきメディアと密接に関わっていることを実感して欲しい課題です。

班での話し合いは、ぎこちなくて上手く話し合いが進まない班もあれば、話が盛り上がって話し合いの課題を忘れて時間オーバーになる班もあります。発表もまだまだなれない感じが伝わってきます。
毎時間書かせるようにしている「メディアログ(授業の振り返り)」も、そろそろ指導を入れていく必要がある時期に来ました。毎回授業の後にする指示も、生徒の様子をしっかり見て内容を作っていかないと空回りになります。メディア・ログは、なかなか書けない生徒もいますが、素直に書いてくれているようです。
自分と周りの生徒が同じでなくて良い。違うことに気づいて、安心して発言できる。発言して受け取ってもらえる楽しさを体験してくれれば、メディア・ログにその内容が出てきてくれます。生徒と教師の関わりから出てくる今年の授業の色が少し見えてきた感じがします。
ここからが楽しみ?なところ。生徒の活動も慣れが出始めて来る頃です。
活動の一つひとつを大切にするように指導することが大切な時期ですね。少しずつでも質を高めるように、小さなことをきちんと語りかける、動作や行動の目的と評価を繰り返し生徒に返しながら。生徒の活動として様子が見えてくることを粘り強く待ちます。

教師が気をつけていないと、慣れて楽しく授業は出来ても、生徒が変わらないですね。

中原 正治(なかはら まさはる)

徳島県立新野高等学校 教諭
50代は、タイピングコンクールでシニアの部に振り分けられました。情報化社会に生きるのは若い世代も高年齢の世代も年齢に関係ないですね。情報と理科を担当しています。

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