2007.05.07
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教師の評価 未来を作る仕事

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭 北川 誠

先日民間企業に勤める高校時代の友だちと酒を酌み交わす機会があった。その時に「俺たち民間は大変だ、いいなおまえは公務員だから」なんてことを言われた。そして酔っぱらって「俺は銀行員として地域の産業のために貢献している。実際数値としてこんな数字をあげた。」挙げ句の果てには「お前ら教師は何を地域に残してるんだ」こういわれたときはさすがに腹が立つより悲しくなってしまった。
「もちろん、民間企業の大変さは理解できる。だけど、楽な職業なんてこの世にないぞ」(だいたいそんなに楽だと思うなら教員になれば良かったのに)と反論するのだが分かってくれたかどうか甚だ疑問であった。

 たぶん、多数の保護者がこんな考えで私たち教師に接しているんだと思うとやりきれない思いになる。私たち教育公務員は反論する場が少なく、マスコミを始め周囲から言われ放題のまさにサンドバック状態である。それに対してだれも口を閉じて具体的な内容や説明をしない。また反論する機関が用意されていない。私は本来教育委員会や管理職などが「広報」「渉外」的な立場であると思うのだが実際そういった専門的な役割は果たせずにいる。

 確かに教師という職業は他職種に比べ外部への対応が上手くなく、これといったアピールも控えめな感じがするが、最近は教育改革・教師の質向上の名の下に(?)民間の意識を取り入れた外部へのアピールや給与体制などが導入されてきている。特によく言われる数値目標。それ自体悪いことではないと思うが、私はこれが間違った使い方をされているのではと感じている。

 教師は特別な職業とは思わない。しかし果たして車を売ったり、他に金を貸したり、サービスを売ったりする職業と方向性は同じだろうか。
 先の「お前らは、地域のために何を(どんな貢献を)しているんだ」と、凄まれ私は少し躊躇しながらも「俺たちは未来をつくってるんじゃないか、君だって自分の人生で一人で大きくなったわけではないだろう。一人くらい今の自分に影響を与えてくれるような素晴らしい先生に出会ったことがあるだろう」と答えた。

 教員の能力給や相互評価による給与考査制度もいいが、単にマスコミに対して良く見えるような改革を続けていく方策を続けることが学校を良くすることにつながるとはどうしても思えない。 むしろマスコミに対しては「学校は大変である(忙しい)」というような曖昧なスタンスでなく。「子どもの指導のためにこのような内容の仕事をこれだけ時間をとっているが、そんなに他の職種と比べて甘いのか」というスタンスで反論していく必要があると感じる。がどうであろうか?
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北川 誠(きたがわ まこと)

埼玉県朝霞市立朝霞第十小学校 教諭
「駄洒落」を立派な日本の文化・言葉の見立てと考え、子どもたちからは「先生 寒~い」と言われてもめげず連発してます。モットーは「花には水を人にはユーモアを」。

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