2007.04.08
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

緊張しながらもわくわく

京都外国語大学 非常勤講師 森 美抄子

 はじめまして。森美抄子と申します。
京阪神の複数の大学で留学生たちに日本語を教えています。
それから日本語教育を学ぶ学生たちにも、日本語教授法などを指導しています。
ここでは「日本語をどうやって教えるのか」ということを中心にお話していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

 大学では入学式が終わり、オリエンテーションも済んでそろそろ授業が始まっています。どの学生も新しい環境に戸惑いと希望を持っていて、この緊張の中にわくわく感溢れる雰囲気が、なんとも言えずいい感じなのですが、留学生たちは日本人学生以上にそういう不安と期待が入り混じった様子を見せています。ものすごくハイテンションになっている学生もいれば、既にホームシックという学生もいます。私たちはとにかく「大丈夫、大丈夫」というメッセージを無言で(ときには口に出して)送り続けてクラスをスタートさせます。

 「お仕事は?」と聞かれたときに「日本語を教えています」と答えると、「英語ができるんですね。」と言われることがよくありますが、とんでもない、英語はかなり苦手です。学生と英語で話さなければならないこともあるけれど、教室の中では共通語は日本語なのです。いろいろな国から来ている学生たちが皆、英語が達者だというわけではありません。
スペイン語、フランス語、中国語・・・さまざまな言語圏の学生がいるのですから。

 彼らの日本語能力もさまざまです。国の大学で日本文学を勉強してきた学生、会話中心のクラスに参加していた学生、アニメやゲームで日本語を覚えた学生、独学で文法書をかじってきた学生・・・話せるけど漢字がわからない学生、読めるけどほとんど話せない学生、若い学生、社会経験豊富な学生などなど、ほんとに「多様」です。

 基本的には日本語能力別のクラス分けをすることになりますが、クラスの構成員一人一人がとっても個性的なので結構コントロール能力を要求されます。しかも、日本語教育の基本スタイルは「チームティーチング」で、一つの科目を日替わりで5人前後で担当するのですから、チームの結束力も大切です。

 さて、月曜から新しいクラスが始まります。きっと学生たちも「どんな先生なんだろう」と探ってくることでしょう。毎回ですが、舞台に上がる素人役者のようにドキドキします。
いや、ほんと、日本語教師ってパフォーマーなんだと思いますよ、仲間の先生方も授業の前のこの時間が嫌だって言ってます。ここまできたらもう祈るしかありません。

 イエス様、アッラー様、お釈迦様、八百万の神々様、どうぞお願いいたします。
 明日の授業がうまく行きますように。

森 美抄子(もり みさこ)

京都外国語大学 非常勤講師
留学生たちに日本語を教えるのが仕事です。そして、日本語教育を学んでいる学生たちにその面白さと厳しさを伝えていくのも仕事です。人間だって宇宙人、日本語だって外国語。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop