ここ2年ほど、ICT教育や高校野球、あるいは学校改革など、メディアも含めてさまざまなところで学校の話題を取り上げていただく機会が増えました。ありがたいことだと感謝しています。
それに伴い、セミナーやイベントで講演してほしいという依頼が私にも来るようになり、地元関西だけでなく関東圏にも足を運ぶようになりました。
学校のことをホンネで語ってほしい
そのような中、等筆すべきこととして、学校関係者が集まるセミナーやイベントでの事例紹介に留まらず、中小の企業経営者、子育て真っ最中のお母さん、NPOなど地域で活動されている方々などに向けて、今の学校の有り様や今後の教育について「ホンネで語ってほしい」というニーズが多くなってきています。
学校教育が大きな転換期にさしかかり、今までどおりではダメだという声が、地域や保護者など「ユーザー側」から上がり始めたということでしょう。
加えて、どちらかと言えば、これまで「学校のことを外部にあまり語らない」のが常だった学校関係者に対して、明らかに「学校をもっとオープンにしてくれよ」という声が強くなっているのを感じます。
教育の場ということで、社会とは違ったルールや制約などがあるという事情も一定理解はしますが、こういった声に応えることこそ、今いちばん学校に必要なことなのではないかと思います。
いくら着飾っても、化けの皮はすぐにはがれる
私が、周囲の声やニーズに対してとるスタンスは、自分がそれを受け容れることで相手が喜んでくれるのなら「快くOKする」。言い方を変えれば「断れない」ということなんですが、今までそれを貫いてきました。
数年前、ある中学校の校内研究会に行かせていただいたことがあります。教頭先生が知り合いということで、若い担任の先生方を対象に、学級集団づくりについて経験談やアドバイスをお願いしたいという依頼でした。
最初は気が進まないというか、自分は適任ではない・・・という思いが強く、お断りするつもりでした。でも、ご紹介いただいた先生の顔をつぶすことになれば、それこそ本末転倒。気がついたら引き受けていました。
もちろん、行くことが嫌だという気持ちは全くなく、行けるものなら行きたかったのがホンネです。ただ、自分自身が講師として相応しいのか、先生方に意味あるアドバイスができるのか・・・ということを思うと、即座に「ハイ」と言えなかったのです。
しかし、よくよく考えてみると、どうも、ボクは「頼まれごとは断らない」いや「断れない」性格のようです。仕事に限らず、地域のこと(自治会)やボランティア、お寺の役割・・・など、これまですべて引き受けてきました。
公私ともに処理できないほど引き受けてしまい、最終的には自分の時間を犠牲にしてまでやらざるを得なくなったり、そういう姿を見た身内から「あんたはいつもそうや、いいかげんに学習したらどう?」って呆れられるほど始末に悪い性分です。
なのに引き受けてしまう。なぜか? ・・・って、いつも思います。
考えてみるに、人が困った顔をしたり、悲しんだり、ツライ目に遭ったりするのが嫌なんです。だから、自分が「OK」っていうことで相手が満足してくれるなら、そうしよう・・・って考えてしまうんです。
ところが、引き受けてからいつも後悔します。自信がない、期待されるような仕事ができるのか、私でいいのだろうか・・・。考えれば心配事はつきません。
バカですね。引き受けてからそんなこと言ったって後戻りはできないわけで、最終的に「まな板」の上にのせられ、その日を迎えてしまいます。
開き直りではありませんが、そうなってくると肝が据わり、「なるようになれ!」って気持ちになります。しょせん着飾ったところで、すぐに化けの皮は剥がれてしまう。それなら、素の自分で勝負しようじゃないか・・・と。
そうして望むと、程度の差こそあれ、不思議と結果がついてくるんです。
正直になれば、受け入れてもらえる。 世の中、そんなものです。
そういう経験が積み重なると、妙な自信というか、恥ずかしさが裏に隠れ、何事も勉強させてもらうチャンスだと思ってやりたくなってきます。つくづく、おめでたい人間だと思います。
ん? こんな私に出会ってみたい、話を聞いてみたいって?!
そんな方がいらっしゃったら、いつでも連絡してください。その話・・・すべて引き受けま~っす!!

安居 長敏(やすい ながとし)
滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。
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