2016.06.29
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若手教師に告ぐ~あなたの悩みにもの申す~

兵庫県公立小学校勤務 松井 恵子

私は、私の心の支えとなり、導いてくれる若手教師達に恵まれることが多いです。

20歳も年下の場合もあります。でも、私の心の支えであり私を導いてくれるんです。

それは、職員室。子どものことで自分の力に泣く若手男性教師です。

それは、学年集会。私が子どもに投げかける言葉に、子ども以上に感じ、涙を流してくれる女性教師です。

それは、教材研究。私の授業に、自分の意見をぶつけてくれる後輩です。

 

今、題名を読んで、口うるさいおばさんの戯言とお思いの方もいるでしょう。題名とはそぐわない書き出しの文章に戸惑っている方もおられるかと思います。ぜひ、最後までお読み頂き、考えていただければ幸いです。

 

今から、あなたの悩みに、もの申しますよ。

 

「授業について、教えてほしいんですけど・・・」

その相談、ちょっと待った!

参観日や研究授業について、同じ学年の先生と会議を行いますよね。特に、参観日については、隣のクラスと差異のないようにと、内容や板書もそろえることも多いです。また、話型や授業作りなどのひな型が各学校に存在し、若手が増えてきた昨今、ひな型が増えてきたように思います。

 

「次の参観日、どうしたらいいですか?」

参観日前にはそんな質問が飛び交いますね。自分から尋ねるならともかく、ベテランからひな型が出てくるのを待っているようなことも。

もちろん、保護者への信頼を築くために、どのクラスも同じような進度で、同じ学習が提供されていることも大切です。

 

でも、その質問、何をたずねているのでしょうか。

あなたがほしいのは、つつがなく授業を進行するための授業進行マニュアルではありませんか?

この前の参観の時、私は経験2年目の後輩にこう言いました。

「段取りや方法ばかりを求めるのではなく、一度、自分で考えて、子どもにとってどうしたらいいのかと、授業に悩んで、それを相談する人になってほしい。」

若手のみなさん、このようなことを意見されるとき、それは、あなたが信頼されている証拠なのですよ。周囲に心を開き、本意を受け取り、自分の力に変えられる人だと信頼するからこそ、このような意見を言ってもらえるのです。

 

うわべの教育技術を相談するのは、ちょっと待った!なのです。

あなたの授業です。あなたの学級です。私たちは、子どもの前に立ったときから、経験年数など関係なく、プロなのです。

主語は、自分。そして、だれのための教育活動?まぎれもなく子どものため。子ども達のために、自分はどうしようかと考えを巡らし、悩み、周囲に相談できる人になってください。そうなったとき、きっと、いや、ぜったいに、あなたは教師という仕事が幸せで楽しくてたまらなくなるはずです。

 

「保護者より年下だし、子育ての経験もない。保護者対応をどうしたらいいのか・・・。」

その悩み、ちょっと待った!

 

結論から言います。悩まなくていい!!あなたは、正しいのだから。

 

これは、私も経験しました。私にも若かりし頃があり、導いてくれる素晴らしい先輩に恵まれて、ここまでやってきました。20年以上経っても、忘れられない言葉があります。それは、私が2年目の時、いつも子どものケアに一緒に関わってくださっていた養護教諭の先生から頂いた言葉です。

 

「あの子の担任は、あなたやねん。子育ての経験なんて関係ない。担任としてみていること、感じること、それを、伝えたらいい。」

 

とても勇気づけられました。そして、覚悟も覚えました。私が、担任なのだと。

今なら、もっとその意味が分かります。子どもは、家庭の顔と学校の顔と多かれ少なかれちがう顔をしています。悪い意味ばかりではありません。いい意味でも、違う一面を見せるのです。家庭では見せない頑張り、おもしろいところ、級友と溌剌と授業をする顔。これが見られるのは、教師の醍醐味です。担任として責任をもって学校でみているからこそ、100%真実の子どもの姿なのです。子どもが何かでつまづき、家庭の支えを必要としていると感じるのなら、年齢や子育て経験など関係ありません。担任として覚悟をもって、保護者と向き合えばいいのです。

それでも、悩むときもあります。そんな時、やっぱり、悩み解消法がいります!私の悩み解消法を、次に申し上げたいと思います。

 

悩みましょう!楽しみましょう!遊びましょう!

たくさん悩んでいますか?

授業のこと、学級の子ども達のこと、保護者のこと、校務分掌。それだけではありませんね。職場の人間関係・・・。

 

授業の悩みは別として、それ以外の悩みについて、対処法は、ありますか?

私の対処法は・・・たっぷり呑んで、食べて、しゃべって、寝て、忘れます。たったこれだけ。もったいつけて、すみませんでした(笑)

 

でも、本当に忘れるのではないんですよ。

あれこれ考え、腐りそうになる自分を忘れるんです。

 

そして自分が行動できることにのみ集中する姿勢を取り戻すのです。呑んだり、食べたりして楽しむと、自分が行動できることに集中するようになり、腐ったものの見方をしなくなります。

 

みなさん、楽しんでいますか?遊んでいますか?

仕事も、プライベートも、思いっきり楽しむことができる人は、思いっきり仕事もできる。そんな風に感じるのは、私だけでしょうか。

 

いつも主語は自分。

 

私は、今までそして今でも、多くの先輩方に導いて頂いています。それは、いつも私自身が考え、悩むからこそ、先輩の教育や言葉を大いに感じてきたからだと思います。

 

自分が中堅の年代になり、後輩が急激に増えました。今は、後輩に導いてもらっています。後輩達が、「主語は自分」で悩み奔走する姿、私の生き様とも言える教育を感じてくれる心が、私をまた奮い立たせてくれるのです。それもまた、私の「主語は自分」の生き方が、後輩達の心を開く一助となっているかもしれません。そう期待しています。

 

主語は自分。そして、本質を磨く悩みをもてる人になってください。

 

そうすれば、あなたの教師人生が幸せになるだけでなく、あなたを取り巻く全ての人に、幸せを与えられます。私がこうして、後輩達からたくさんの幸せをもらっているように。

 

あなたの悩みにもの申す本意を汲んで頂けるとありがたいです。 

松井 恵子(まつい けいこ)

兵庫県公立小学校勤務


兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。

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