2016.08.31
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"学習"から"学修"へ (モジュール活動をスパイラルで!)

倉敷市立連島南小学校 教諭 江尻 寛正

私が大事にしている点について確認しておきます。

 

 ○意味のある繰り返しを行う(必然性・達成感が生まれるようにする)
 ○双方向のコミュニケーション活動を仕組む(ビデオで終わらず、人とのやりとりを行う)
 ○言葉を使う場をイメージできるようにする(話す・聞くではなく、使う視点を大切にする)

 

また、7/22記事の最後をこんな言葉でまとめました。

 

「こんな英語を言いたかった」と思う機会をたくさんつくることで、自分から英語表現を手に入れていくアクティブラーナーが育っていくのだと思います。

 

これが、私が考える”学習”から”学修”への転換のポイントです。

 

言いたい英語を知る機会をつくる!

「自分の思いを伝えたくても伝わらない・・・」

この経験をできるのが外国語を使ってのコミュニケーション場面だと思います。

そして、伝わらない経験をしたからこそ、なんとか伝える方法を身につけたいという意欲をもつのだと思います。

だから私はワークシートに「My dictionary」という欄を設けています。
これは、「自分が言いたかった言葉・表現」を子どもが書くスペースです。

子どもにとっては、自分が”言いたい英語”を知れることになります。

 

読みたいから読む!

My dictionaryに書かれた言葉や表現を私が英語に直します。

子どもは返されたワークシートを見て、英語を読む機会になります。

これは「読みなさい」と言われたものではなく、「自分が言いたい」ことなので、読む意欲が高くなります。

また、自信がない場合や読めない場合は私に聞きにきます。その時に、アルファベットのもつ音を確認しながら一緒に読むことで、少しずつ読むことができるようになっていきます。

 

使う場面をつくる!

My dictionaryはあくまで個人的なものです。

そこで、書かれたものの中から汎用性の高いものを選び、毎時間の最初にSpecial Wordとして全体に紹介するようにしています。

例: ○もう一回お願いします。 → One more time please.

   ○ヒントをください! → Hint please.

そして、これらの読み方・使い方を全体で確認します。

さらに、授業の中で意図的にこれらのSpecial Wordを使う場面をつくるようにします。

例えば、ピクチャーカードを一瞬だけ見せて「What's this?」と問います。すると子どもたちからは自然に、「One more time please. 」「Hint please. 」といった英語が出てきます。

 

学修のスパイラル

My dictionary  → Special Word → 使う場面をつくる → My dictionary ・・・

この流れができると、子どもは自分から英語を獲得してくようになります。

自分が英語を使えるようになっていくことが実感できるからだと思います。

これが私が考える”学修のスパイラル”です。

そして、この流れをモジュールで活用することを私は提案したいと思います。

”自分から英語を獲得する機会を増やす”ためにです。

だからこそ、モジュールで行う活動は「英語を使う場面が多い」ものが良いと考えています。前号までで紹介した「Change Game」や「Talk Time」といったものです。

自分から英語を獲得する機会をできるだけ増やし、子どもをアクティブラーナーに育てていきたいと思っています。

 

追伸:教師がアクティブラーナーに!

My dictionaryの欄をつくると教師も学修者になります。

「アライグマって英語で何て言うんだ?」

「お先にどうぞは?」

これを調べる中で自分の学びにもなります。

「へぇ~、そう言うんだ。」と思うことが多いです。

しかも、その場で答える必要がなく、放課後にインターネットの翻訳サイトや英語表現お助けサイトを活用できるので苦手であっても安心です。

ALTに尋ねることができる環境であれば、自分もリアルコミュニケーションをはかる機会になります。

「英語を勉強したい」と思いつつ、なかなか行動にはうつせないものです。そんな方はMy dictionaryの欄を子どものワークシートの中に設けてみませんか。”学習”する必然性をつくることで、いつの間にか自分が英語を”学修”していることに気づくと思います。教師がアクティブラーナーになることが、アクティブラーニングをすすめる第一歩になると思います。

江尻 寛正(えじり ひろまさ)

倉敷市立連島南小学校 教諭
アクティブラーニングを意識した“子どもが学修する”小学校英語教育実践を紹介したいと思います。平成26年度「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)特選受賞、「小学校外国語活動研修ガイドブック」(文部科学省)や「英語教育」(大修館書店)等で執筆協力。

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  • 常名 剛司

    静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭

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