楽習の中心はゲーム
私が小学校での英語教育に出会ったのは2003年でした。
その頃の合言葉は「英語嫌いをつくらない」でした。
だからこそ、「楽しい活動」を中心に授業を組み立てていました。その活動の多くは「楽しいゲーム」でした。ビンゴゲーム、聖徳太子ゲーム、ミッシングゲーム、キーワードゲームなどです。
10年以上経った今でも、これらのゲームは授業でよく扱われています。文部科学省が公表している実態調査からも、これらの活動が高い支持を受けていることがわかります。
私も授業の中でゲームを扱うことは多いです。ですが、ゲームを「いつ・どのように」行うかはとても大切だと考えています。
それを考える視点は「子どもの実態や興味関心に合わせる」ということです。
楽しいゲームってどんなもの?
「3DSとドッジボールと読書、あなたはどれが一番楽しいですか?」
こんな質問をクラスの子どもにした時の答えを想像してみてください。1位は何になるでしょうか。
なんとなく1位は3DSのような気がします。ですが、その支持率は100%でしょうか。もちろん、そうではないでしょう。クラスの中には、ドッジボールや読書を圧倒的に支持する子もいるはずです。それが当たり前です。
では、小学校英語の授業がその当たり前に対応しているでしょうか。
ついつい教師は「授業が盛り上がる」ことを考えてしまうことがあります。
そうなると、クラスの中の元気な子たちに合わせたテンションの高い活動を中心にしてしまいます。例えば、キーワードゲームやビンゴゲームです。
ですが、それが続くと、「授業は盛り上がって見えるけど、楽しく感じていない子が常にいる」ことになります。
だから私は、様々な種類の活動、いろいろなテンションの活動を取り入れることが大切だと考えています。
楽習にする方法PART1 まとめ
(1)ゲームは楽しい
子どもの支持率は高いです。雰囲気が良くなります。特に授業の導入、単元の導入にはもってこいです。
(2)クラスにはいろいろな子がいる
元気な子もいれば、おとなしい子もいます。それが当たり前です。
(3)みんなが満足するためにはいろいろな活動を組み合わせる
テンションの高い活動だけではなく、じっくり思考する活動、聞く活動などを組み合わせるようにします。
例えば”Color”がテーマだとすると、カルタをした後に色塗りをするようにする。"Number"がテーマだと、人数集めのような動的な活動の後、線つなぎのような聞く活動を行うようにする。
できるだけ1時間の中に種々の活動を入れるようにし、最低限単元の中には様々な活動が入るようにする。
どの子もどこかで満足するように授業や単元を組むことで、子どもの英語授業に対する興味関心が高まります。
この視点を日常の授業で教師が意識しておくことが主体的に学ぶ子どもを育てるためには大切だと思います。
次号では、小学校英語を楽習にするために私が大事だと考えるもう1つの視点を紹介したいと思います。

江尻 寛正(えじり ひろまさ)
倉敷市立連島南小学校 教諭
アクティブラーニングを意識した“子どもが学修する”小学校英語教育実践を紹介したいと思います。平成26年度「わたしの教育記録」(日本児童教育振興財団)特選受賞、「小学校外国語活動研修ガイドブック」(文部科学省)や「英語教育」(大修館書店)等で執筆協力。
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静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
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