2016.04.21
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主体性を育てる

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

 今年度は3年生の担任になりました。
勤務校は2年生から3年生への大きなクラス編成がないので、担任クラスのほぼ全生徒が持ち上がりです。幸運なことに、中には1年生から担任をしている生徒もいます。
そこで、これまでもある程度は意識していましたが、残された1年間の高校生活でどれだけ主体性を育てられるかを考えてクラス運営をしていこうと考えています。
 
 まず、クラスの生徒数分の委員・係を用意しました。中には「総務委員秘書係」というものもあります。それらを全て立候補で決定しました。しかも、ホームルーム委員長と副委員長を決めるところまでやって、あとはその生徒達に完全に任せて一切口をはさみませんでした。
(ただし、担任の担当教科である学習委員数学係が最後の方まで決まらなかったことには「えぇー!」と言いましたが。)
その後、「委員・係宣言!」と称したA4用紙に氏名、委員・係名、その委員・係としてどんな活動でクラスに貢献するのかを書かせました。それを持って記念撮影までしました。
 
 次に、ホームルームの時間の運営方法を変えました。もちろん、どうしても直接伝えたいこと伝えなければいけないことはきちんと言いますが、できるだけ全員に伝えるのではなく、該当する委員・係の生徒だけに個別に連絡事項を伝え、その生徒からクラス全体に伝える方法を採用しています。したがってホームルームはまず「委員・係からの連絡事項は?」で始まります。また、委員・係の生徒に連絡事項を伝える際には、必要な情報を伝えた後、「どう思う?」、「どうしたら良い?」、「どうやって伝える?」などを聞き伝達の際のシミュレーションを行うことを心がけています。
したがって、ホームルームが委員・係の生徒からの話だけで終了することもあります。
 
 この様にしていると、やはり人前で話をすることも主体的に動くことも活発になりました。場面に応じて誰かがリーダーシップを取り声をかけますし、時期によって慌ただしく動いている生徒がいれば積極的に手伝うようになりました。また、4月末に行われるボランティアの参加者数も増えました。この様に主体性と同時に協調性も育っています。
もちろん、まだ全員が主体的にとは言い切れませんが、いまのところこちらの意図を良く理解してくれています。
年度初めにクラスのテーマとして発表した言葉は「感謝」です。何事にも感謝の気持ちを持ち、それを素直に謙虚に表して欲しいと話しています。
 
 今後の課題は、この様な活動を「学習活動にどのようにつなげていくか?」です。3年生なので「受験」という現実は迫ってきます。そこのどう立ち向かっていくのかを通して、ますます主体性を高められるようにしていきたいと考えています。
 きっと他の先生方も同様の工夫を多くされているものと思います。ぜひアイデア等いただけると幸いです。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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