2016.04.11
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『ワク熱! 安居教室』 入学式で校長が授業

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

入学式は、学校がどんな場で、どんな教育をし、何を学んでほしいか・・・つまり学校での過ごし方を新入生に伝える時間です。来賓や保護者の臨席のもと、それを校長が「式辞」に込め、メッセージとして届けるのが一般的だろうと思います。

本校も、これまでそういう形の入学式を行ってきました。でも、一連の学校改革のひとつとして、新入生に「学校で、何のために学び、どんな時間を過ごすのか」を考えてほしいと、今年度から大幅にスタイルを変え、前半40分が厳粛な式典、5分の場面転換を挟み、後半50分で「校長と新入生のInteractiveなやり取り」を行うことにしました。

入学式を、どうアレンジするか

今回の入学式改革は、学内だけでなく、外部のアイディアも積極的に取り入れています。本校教員、生徒会、そしてこれまで協働プロジェクトを行ってきた日本HP、HPSA(HP Student Ambassadors)とよばれる大学生たちを加えたメンバーでプロジェクトチームを組織し、議論を重ねてきました。

既存の形にとらわれないスタイルがどこまで表現できるか、さまざまな意見が出される中、常に判断の軸になったのは「何のために入学式をするのか」ということでした。

来賓や保護者のことを考えると、あまり長時間になってはいけない。その一方で、Interactiveなやり取りを行うには、ある程度の時間が必要だ。どこで折り合いをつければいいか、さまざまな意見が交わされ、最終的に次のような形で落ち着きました。

◇◇◇

第一部(式典) 43分

新入生入場・着席(7分)
開式の辞
国家・中高校歌斉唱(4分)
入学生呼名・入学許可(16分)
校長式辞(4分)
来賓祝辞(5分)
来賓紹介・祝電披露(4分)
新入生誓いの言葉(3分)

場面転換(5分)

在校生歓迎の言葉とともに、第一部終了の挨拶

第二部(52分)

校長主催『ワク熱! 安居教室』(45分)
新入生全員紹介ムービー(5分)
閉式の辞
来賓退場(2分)

◇◇◇

なお、司会進行は生徒会で、英語と日本語の二カ国語で行います。また、第一部が終わった段階で退席される来賓がおられることも想定しています。

会場は、体育館のステージを張り出す形でラウンドステージを設置(第二部で使用)、それを取り巻くよう扇形に新入生の椅子を並べました。

ワク熱! 安居教室

入学式のメインである「校長と新入生のInteractiveなやり取り」は、マイケル・サンデル教授の「白熱教室」をモデルに組み立てました。ステージには第一部で使っていた演台等に替えてスクリーンを設置、スクリーン裏からプロジェクターで投影できるようにしました。

肝心の内容ですが、未来の社会がどうなっていくのか、そこで生きるにはどんな力を身につけておく必要があるのか・・・ということをベースに、そんな滋賀学園生になりたいのか、滋賀学園で何を学ぶのか・・・といったことを、自分との対話の中で考え、みんなで共有し合うことをめざします。

とにかく、ワクワク・ドキドキする、Activeな時間・空間を作れればと思っています。

アウトラインは、こんな感じです。

◇◇◇

ワクワクしよう!

ナレーションでルール説明、そのままオープニングムービーへ。

Activeになろう!

新生活はワクワクしているか?(Yes or No)
滋賀学園は第一志望だったか?(Yes or No)
滋賀学園にもっと有名になってほしいか?(Yes or No → その理由を発表してもらう)

☆ Core Message 1 「自分の居場所を見つけよう! 誰にだって居場所はある!」

未来を想像してみよう!

皆さんが仕事をするようになる頃って、どんな未来?(各種データ、映像等をスライド表示し説明)
どんな仕事がなくなり、どんな仕事が生まれるだろう?(隣の人と話させる → 発表してもらう)

☆ Core Message 2 「自分が好きなことは何? 職業を具体的にイメージし始めよう!」

どんな滋賀学園生になりたい?

18歳(高校を卒業する)のときの自分を想像してみよう
どんな仲間を作りたい?(Open Question)
どんな部活動、課外活動をしたい?(Open Question)
どんな教養を身につけたい?(Open Question)

☆ Core Message 3 「18歳の春には、描いた自分を実現させよう! 滋賀学園はそのために存在する場所だ!」

校長から、新入生に贈る言葉

"Real Life" and "Street Smart"
"ありえないを、創ろう。"

さて、新入生や保護者の反応は・・・?

これを書いている今日(4月7日)は、入学式準備の日。廊下には、明日の入学式に向けて前日登校してきている新入生の声が響いています。多少照れながら、新入生全員紹介ムービーの写真を撮影する姿も、初々しくてステキでした。

このあと、入学式準備が終わったら、明日に向けてプロジェクトメンバーでリハーサルを行い、明日に備えます。

ということで入学式の反応は、私の実感や周囲の声、アンケートをまとめた形で、次回お伝えします。

お楽しみに!

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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