2015.12.16
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Shigagakuen Future Leadership Program(その2)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

前回に続き、『Shigagakuen Future Leadership Program』の内容について紹介します。

 

1学期の反省と今後の展開

1学期のミッション「滋賀学園の魅力を最大化し、滋賀学園が全国に有名になる方法を提案せよ」の最終プレゼンテーションを終え、実際に授業をやってみたからこそ見えてきた”課題”がいくつかありました。以下、担当者で何度も議論した内容の骨子です。

(1)今後の大きな方向性

「リテラシー」(スキル・知識・課題解決力・ITリテラシーなど)と「コンピテンシー」(リーダーシップ・コミュニケーション・経験振り返りなど) の、どちらに重点を置いてSFLPの内容を設計していくべきか・・・という点について。

結論としては、1~2年生はリテラシー、3年生はコンピテンシーという順に進めていくのが妥当だろうという判断に落ち着きました。 まず、1~2年生においてはアクティブ・ラーニングをベースに、分析・課題解決、ITリテラシーなどに重点を置いて学習を組み立てていきます。もちろん、振り返りの要素などは入れ込みますが、あくまでも重点はスキルを身につけること。その後、3年生になり、自身の進路を思案する段階で、これまでの学習の振り返り要素を加味し、コンピテンシーを身につけられるような設計を検討していくという流れです。

一般的に、PBLにおいては、まずスキル(=リテラシー)を鍛え、その後、コンピテンシー(=リーダーシップ、コミュニケーション)をどうやって高めていくかという段階手法をとります。スキルがない、あるいは未熟なままに行ったアクティブ・ラーニングによる成果物について振り返り、コンピテンシーに展開しても、そこから得られる学習効果は低いというのが、私たちの実感でした。

(2)横展開の具体策

授業の横展開をどう考えるかについて。

この実践をNEEで発表した際、参加者から出た質問事項は次の3つでした。

①成績評価アセスメントシステムの設計
②SFPを担当する教員FDの仕組み化
③学園全体のカリキュラム設計、科目トラック設計

いわゆる属人的なアクティブ・ラーニングモデルから、学校全体のコア・カリキュラムへ展開するうえで、必ずぶつかるのがこの点です。今年度、試行的に1クラスで実施していますが、それを学校全体に広げていくためには、これらのことを整理・検討し、一定の具体策を持つ必要があります。

(3)2学期のアクションプラン

1学期の提案型プレゼンテーションで見えてきた弱点は、「論理思考」「分析」「論理展開」「スピーキング」の未熟さでした。2学期は、これらの能力を磨くために「ディベート」を導入します。

 

滋賀学園のこれからの派遣留学先には○○○を追加すべきである

2学期、ディベートを取り入れるにあたり、与えた課題は「滋賀学園のこれからの派遣留学先に○○○を追加すべきである」というものでした。

1学期のプレゼンテーションの中で、滋賀学園の魅力として”留学”を挙げ、現在のニュージーランドやカナダ以外にも行き先を広げるべきだという提案がいくつかあり、それならば・・・ということで、ディベートのテーマに取り上げました。選んだのは「ニューヨーク」「ムンバイ」「ミュンヘン」「ソウル」「シンガポール」の5都市。5つのグループがそれぞれいずれかを担当し、追加すべき理由について論じ合いました。

授業の流れ

Day1(9月11日)
5校時/レクチャーセッション(ディベートのルール説明)
6校時/立論調べ学習

Day2(9月18日)
5校時/レクチャーセッション(ニセモノの説得力について知る)
6校時/立論作成

Day3(9月25日)
5校時/レクチャーセッション(反駁説明)
6校時/反駁作成

Day4(10月2日)
5校時/レクチャーセッション(ジャッジ説明)
6校時/練習試合

Day5(10月9日)
5校時/レクチャーセッション(それぞれの街を知る:地域特別講師・小倉さん)
6校時/レクチャーセッション(それぞれの街を知る:地域特別講師・小倉さん)

Day6(10月23日)
5校時/練習試合
6校時/練習試合

Day7(11月13日)
5校時/作戦会議
6校時/作戦会議

Day8(11月20日)
5校時/第1試合(ニューヨーク vs シンガポール)
6校時/第2試合(ミュンヘン vs ムンバイ)

Day9(11月27日)
5校時/第3試合(ソウル vs 第1試合の勝者)
6校時/決勝戦(第2試合の勝者 vs 第3試合の勝者)

 

高校生っていいなあ・・・♪

ここで、Day8とDay9のジャッジの一人としてお招きした、世界中を飛び回って大活躍中の地域イチオシリーダー(Day5のレクチャーセッションにも登壇いただきました)小倉さんから届いたメッセージを紹介します。実際の授業の雰囲気を、リアルに感じ取ってもらえたらと思います。

Day9を終えて

滋賀学園高等学校に三度お邪魔しました♪
いよいよディベイト決勝戦です!
先に韓国(ソウル)チームとシンガポールチームの対戦から、決勝戦はドイツ(ミュンヘン)チームとシンガポールチームの決戦となりました。
結果は・・・僅差でミュンヘンチームの優勝が決まりました♪
これって、単純にミュンヘンがいいからとか行きたいからではなく、間違いなく彼らのプレゼンや説得力、情報収集能力などの効果が発揮されて決まったわけですもんね♪
こうしたことが今後、社会へ巣立った時に必ず役に立つと思います。
まして、大人の世界でもこういったことが現在、最も求められていることのような気がしてなりません♪
最初は頼んでもらって赴いた機会ですが、今では私の方からお願いしてでも行きたい機会になっています♪
子どもたちってホンマに可愛いんですわ♪
抱きしめたいくらい!
連れて帰りたいくらい・・・というと、安居先生に怒られるので言いませんが、「この子たちと何かをやってみたい!」 と心から思えた素晴らしい授業でした。
感謝!

小倉さんとの関わりは、10月9日に遡ります。生徒たちにとっては初めて取り組むディーべートであり、テーマとして取り上げた「留学先に、この国を加えるべきだ」のアイデア出しに、どのチームも苦しんでいました。そこで、そのきっかけづくりにしてもらうべく、授業にお招きし、講義をしていただきました。

その後、せっかくお話ししていただいたのだから、生徒たちがどう変わったのかを見ていただきたいと、ディベート対戦のジャッジをお願いしました。

Day8を終えて

初回の対戦(Day8)後にいただいた、小倉さんのメッセージには、こうあります。

10月に生まれて初めて教壇に立たせていただきました…(^_^;)
生徒さんたちの、そのあまりに綺麗な瞳に圧倒されて・・・かつて経験のない種類の緊張感を感じての授業をさせていただきました。
学校側の温かい誠意で「また来てくださいね」と言っていただいたので、再度お邪魔させていただきました♪
SFLP(滋賀学園フューチャー・リーダーシップ・プログラム)という授業で、生徒に「留学先を増やすとしたら、どこの国(街)?」というテーマでディベートに取り組むという画期的な内容になっています♪
クラスを(ニューヨーク)(ムンバイ)(ミュンヘン)(ソウル)(シンガポール)の5つの班に分け、班対抗の論戦を繰り広げるわけですが、以前に私が少しだけ講義をさせていただいた時に比べて、格段にその知識や考え方が成長していることに大変驚きました!
例えば、「ミュンヘンってソーセージがおいしいんやろ?」って言ってた彼らが、「街はとても衛生的で、日本の水質基準より厳格な基準をクリアしています」という発表に変わっていたりするのです!
ちゃ~んと子どもたちってやるときはやるんですね~♪

恐れいりました♪
でも、この授業って素晴らしいと思います。
このレベルのことって、今の一般の企業でも求められていることだと思います。
21世紀はコミュニケーションの時代ですもんね♪
「何を相手に伝えるのか?」「何を相手から受け取るのか?」これって本当に大切な機会ですよね。
生徒を教えるどころか、毎回いっぱい教えてもらっている気がしてなりません♪

 

 

さて、3学期はどうする?!

1学期の課題に対する「提案型プレゼンテーション」の反省を踏まえ、生徒にもっと深く考えさせたいと、ディベートを取り入れた授業を展開した2学期。

正直、最初の段階では「まだ、ハードルが高すぎるんじゃないの?」という不安が拭いきれませんでした。ですが、やってみることで得られる成長は、その不安を遙かに上回るものでした。今回優勝したチームだけでなく、最終対戦ではどのチームも負けず劣らずの内容で、明らかに情報収集や分析、論立てが深まり、とても説得力のある、聞き応え十分な中身になっていました。

Shigagakuen Future Leadership Program をどこまで深めていけるか・・・。
今後が、ますます楽しみになってきました!

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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  • 樋口 万太郎

    京都教育大学付属桃山小学校

  • 大谷 雅昭

    群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

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