2015.12.02
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

実践発表

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

 先日11月14日の土曜日に、地元福岡でキャリア教育のための様々な事業を展開されているフォーサイトアクト株式会社という企業さんの主催で、産業能率大学の小林先生をお招きしての「アクティブラーニング勉強会」が実施されました。

その場で、アクティブラーニング型授業者としての実践発表をする機会をいただきました。

 
 約80名の高校の先生方を中心とする皆さんの前で、約30分のプレゼンテーションをしました。
はじめに、私が実践している形式だけがアクティブラーニング型授業の形式ではないですし、全ての学校・学年・クラス等に適用できる一般解はないことの断りを入れたうえで、いつどこで実践しているのか、なぜ導入しようと考えたのか、何を実践して良かったのか悪かったのか、いま現在はどのように実践しているのかを順を追って話をしていきました。
またそれを踏まえ、生徒にアンケートを取った結果を集計し、発表しました。
 
 同じく実践発表者として立たれた、明光学園中学・高等学校の前川先生は一部授業体験を取り入れてワークショップ型でされましたが、私はアクティブラーニング型授業の実践発表にもかかわらず、完全ワンウェイ形式の発表でした。
今回は、この発表の報告を兼ねて、概要を記録しておきたいと思います。
多少これまでの投稿と重複するところもあるかと思いますが、ご容赦ください。
 
 

いつどこで実践しているのか

 
はじめてアクティブラーニング型授業の実践についてこの場に投稿した6月に、まずは自分の担任クラスにおいてのみスタートさせました。一度授業形式を変えて以来、全ての自分の授業の中で実践し続けています。文化祭で大きな展示物を作ったこともクラスの連帯感を高めるのに効果的でした。
ただし、生徒のアクティブな活動の中心となるグループでの時間がどれだけ確保できるのかは、その日の授業内容次第です。
最近になってやっと、授業担当クラスの担任と綿密な相談を重ねたうえで、担任外のクラスでも実践を始めました。
 
 

なぜ導入しようと考えたのか

 
 いまさらながらの説明になりますが、私自身がアクティブラーニング型授業を導入しようと考えた根拠は、「授業中の居眠りを撲滅する」の一点につきます。
これまで、20年間塾・予備校講師時代も含めて教壇に立つ仕事をしてきましたが、授業方法や講義の際の雰囲気、板書の工夫といった教員の言動を変えることで対応しようとしてきました。しかし昨年度末頃から参加したキャリア教育やアクティブラーニングに関する数々の研修と、産業能率大学の小林先生の著書『アクティブラーニング入門』を読むことで、生徒の活動を変えることでこの問題に対応できないかと考えるようになりました。
 
 
 
 

何を実践して良かったのか悪かったのか

 
 この項目は、以前の投稿である「ICTとの戦い」や「アクティブラーニングの実践状況」に詳しくあるので、ぜひそちらをご参照ください。
 
 

いま現在はどのように実践しているのか

 
 繰り返しになりますが、「アクティブラーニングの実践状況」の投稿にある1枚のプリントの配布以外に、やっていることを説明します。
 まず、その日に必要な知識や例題はできるだけまとめて講義をすることにしています。そうするとグループ活動の時間がまとまって確保することができるので、生徒達にとってもその方が良いようです。
 次に、講義が終わると個人の演習なのかグループ活動の時間なのかをあえて分けないようにしました。そうすることで、全くできないときにはすぐに相談ができるし、できそうな問題の時にはまず自分で解こうとします。講義後の時間に生徒がどの様に動くかで理解度のチェックにもなります。
 さらに、教科書には解答がない練習問題等の解答をプリントで配布するようにしました。正直言ってこれには大きな抵抗がありました。古典的な価値観かもしれませんが、解答を配布することで教員の講義等の価値が下がってしまうのではないかと不安がありました。しかし配布していなかった時と比べると、何をどうして良いか分からずに何もできない生徒がいなくなり、それぞれの習熟度に応じて何かしら活動をするようになりました。逆に、解答を見ながら自分でもグループでもやってみて何となくはできたけど、「やっぱり先生に解説をして欲しい。」との声が上がったときには、ちょっとほっとしましたし、そのようなときの解説は、それまでのものと比べると生徒の集中力が高まっている気がします。
 
 最近感じることは、アクティブラーニング型授業を実践することは、「自分の授業をどうしたいのか?」を考えることであると思います。「アクティブ」の方にアクセントがあるのではなく、「ラーニング」の方にアクセントがあり、生徒が何を学ぶか、どのように学ぶかといった「学び」を追求する授業改善なのです。これは教員として教壇に立つ限り、追及していかなければいけない課題だと考えます。
 
 ところで校内外で実践発表をさせていただくと、よくある質問に「教員の負担が大きいのでは?」とのことが挙げられますが、少なくとも私の場合は全くその様なことはありません。
「グループはどのように作っていますか?」と聞かれますが、生徒の席替え係がいてその生徒が全てやってしまいます。しかも週に1回席替えを行っているので、グループは流動的で固定していません。そのことが
「プリントの配布や回収が大変ですよね。」と言われますが、教卓近くの生徒や学習委員の数学係が全て行います。クラス人数から1枚の過不足もなく配布しているので、欠席者への配布も全て生徒が行います。
「ICT機器のセッティングが大変でしょう?」と聞かれますが、これまた全て生徒がやってしまいます。
生徒達には、そういう準備も含めて主体性・多様性・協働性を鍛える機会であり思考力・判断力・表現力を育む場であると説明していますが、つくづく生徒達に恵まれていて助けられていると感じます。
 
 

生徒はどのように感じているのか

 
 実践発表を機会に、生徒達にいくつかのアンケートをしました。どの項目でもほぼ全ての生徒が、従来型の講義中心のティーチングよりグループ活動を含むラーニングの重要性を感じてくれていました。ただひとつ、以前の投稿にある「リフレクション」だけがこちらの意図と生徒の認識のギャップが大きく、まだまだ大きな改善が必要だと感じました。
このように生徒の声を聴きながら、より良い「学び」を追求していきたいと考えています。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

同じテーマの執筆者
  • 樋口 万太郎

    京都教育大学付属桃山小学校

  • 郡司 竜平

    北海道札幌養護学校 教諭

  • 中原 正治

    元徳島県立新野高等学校 教諭

  • 鷺嶋 優一

    栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭

  • 藤田 孝介

    横浜市立入船小学校 教諭

  • 中川 宣子

    京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 大吉 慎太郎

    大阪市立放出小学校 教諭

  • 清水 智

    長野県公立小学校非常勤講師

  • 齋藤 大樹

    浦安市立美浜北小学校 教諭

  • 宮澤 大陸

    東京都東大和市立第八小学校

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop