日本ではあまり知られていないかもしれませんが、1994年にUNESCO(国際連合教育科学文化機関)が10月5日を「教師の日」に制定しています。
普段お世話になっている教師に、感謝の気持ちを伝えるこの文化は世界中で浸透しており、各国それぞれの「教師の日」に合わせてイベントも盛んに行われているそうです。
しかし今回ここで話題にするのはこの「教師の日」ではなく、本校独自のものについて紹介します。
本校は11月5日が開学記念日でその翌日の6日を10数年前から「教師の日」として職員研修日としています。
これまでは、その年の担当教科(1回に2教科)の本校職員が研究授業を行い、大学の先生などを指導助言者としてお迎えして、研究授業終了後に研究協議を行っていました。また、全体で基調講演も行ってきました。この行事は外部公開もしており、本校教員の他にPTAの方や地域の方はもちろん、他校の先生や塾の先生などが参加されていました。
授業者にとっては、大きなプレシャーだったと思います。しかし、そうやって大々的に公開することで研鑽が図れるのも事実です。残念ながら授業者になったことはないのですが。
これに対して本年度は大きく形式を変えて行われました。
基調講演としてリクルートキャリアガイダンス編集長の山下様をお迎えして、高大接続改革を中心に公演をしていただきました。
これだけなら例年と大きくは変わらないのですが、これまで2教科だけ実施していた研究授業は芸術を除く全教科で行い、本校教員は生徒として参加しました。研究授業後は研究協議を行いましたが、生徒役として参加しており自分の授業に活かすためにどうすればよいか、何ができるかを考えて臨んだので、例年以上に活発な協議となり、多くの質疑応答が行われました。
ただ、当日を迎えるまでは迷走したり悩んだりと正直言って大変でした。
教科主任をしているので、数学の研究授業をどの様なテーマで行うのか、誰を講師として呼ぶのか、どの様に進めるのか、協議が活発になるにはどうすれば良いのか等々、当日の運営に関してだけでも考えなければいけないことは多くありました。
それに加えて、事前学習として何をするのか、どうするのかも考えなければ、当日の取り組みが点になってしまい、せっかくの研修が線としてつながりません。そのことを先輩教員に指摘されてますます焦ります。
先輩には、「教科主任としてのプロデュース力が問われる。」と言われましたから。
幸い、昨年度の終わり頃から多くの研修に参加して、外部とのつながりはこれまでの年より増えていましたし、研修のほとんどがアクティブラーニングに関することだったので、「アクティブラーニング型授業実践事例」をテーマにして講師の先生の人選にあたりました。
様々な縁がつながり、関東第一高校の横山先生をお招きすることができました。
おかげで、当日はこれまでの「教師の日」職員研修の研修授業とは異なる種類の充実感が得られる良い研修になりました。縁をつないでくれた多くの皆さんに感謝です。この場を借りて言うことではないかもしれませんが、本当にありがとうございました。
自己満足になってはいけないと思い、何人かの教員に感想を聞いてみたところ、「勉強になった!」というコメントを多く得ることができました。加えて、前述の先輩教員から終了後に「お疲れ様、良かったよ。」との言葉をもらったので、とても嬉しかったです。
今回のことを通して、本校の自教科の教員はもちろんのこと、他教科の主任を中心とした教員とも様々な情報交換を行い、これまで行ったことのないような小さなミーティングを多く行うこともできました。そういった点でも「準備」から得られたものは大きかったです。
ただし、学んだことを定着させるためには、ふりかえりが大切です。
今後の教科の研修でしっかりふりかえりを行い、学んだことを少しでも活かしていかなければと思います。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。
同じテーマの執筆者
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
「教育エッセイ」の最新記事
