2015.11.06
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滋賀学園の展開する「21世紀型授業」

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

本校の教育は、1933年に創始者 森 はな が、和服裁縫研究所を開設したのが始まりです。常に生徒に寄り添い、ことあるごとに「教育とは、教えつつ学び、学びつつ教えるものである。」との基本理念を説きながら、地域の教育を担ってこられました。

その後、幾多の変遷を経て、1984年に高等学校として認可を受け、八日市女子高等学校が誕生しました。さらに、1999年に男女共学の滋賀学園高等学校に校名変更し、現在に至っています。

昨年(2014年)、高校創立30周年の記念式典を開催した際、式辞の中で、そういった経緯を背景に次のようなことを述べました。

高校創立30周年記念式典での式辞(途中から一部抜粋)

女子校15年、共学校15年。あわせて30年の間に、これほどスピード感をもって改革を推し進めてきた学校は、私学といえども、あまり例がないと思います。(中略)現在、本校で行われている教育の原点となっているのは、学園の創立者であり、初代校長である 故 森はな先生が、常におっしゃられていた「教育とは、教えつつ学び、学びつつ教えるものである」という基本姿勢です。

「自分の経験したことのない教材を、生徒が教えてほしいと言ってきたら、その日の夜から私自身も勉強を始めます」と、生徒と共に学びながら、一緒になって粘り強く歩んでこられたそのお姿こそが、滋賀学園教育の原点であると同時に、いかなる時代にあろうとも、普遍的な、教育本来の果たすべき役割そのものであると、私たちは考えています。

本校校舎の二号棟から四号棟に続く廊下の正面の壁に、「飲水思源」(いんすいしげん=水を飲みて源「みなもと」を思う)と書かれた額が飾られています。古い中国の言葉ですが、これは、「水を飲むときには、その井戸を掘った人のことを思いなさい」という意味として使われています。

滋賀学園のために、多くの先輩方に井戸を掘っていただきました。その井戸からは伝統という水が湧き続けています。私たち教職員、生徒一同は、本校に関わってこられた皆さまに対して、常に感謝の気持ちを忘れないようにしなければなりません。しかし、先輩の作ってくださった井戸にばかり頼っていたのでは、いずれ水は枯渇してしまいます。

今日、世界は高度化した科学技術やグローバル化の進展、日々拡大する情報ネットワークなどによって社会構造などがますます複雑化し、社会自体のあり方や個々人の生き方が、かつてないほど多様化しつつあります。こうした時代にあって、学校教育もまた大きくその役割が問い直されてきています。21世紀を担う子どもたちに、主体的に学ぶ姿勢はもちろん、異なる文化を理解し受け入れる包容力や語学力、変化に適応する創造的で柔軟な思考力を身につけさせることが、いま、私たちに強く求められています。

そのような中、滋賀学園では、新たな教育改革として、グローバル社会で活躍できる人材育成をさらに推進するため、脱20世紀型授業を宣言し、21世紀型授業を行う学校へと、大きく舵を切ることにしました。授業における「学びの質」にこだわり、学びを徹底的に高めていく枠組みを用意していきたいと思います。

具体的なことは現在準備中ですが、教科書を中心とした、従来型の一方的詰め込み授業とは異なり、生徒自身が自ら考えることを教師が支援する形の、ICTを活用した「相互通行型授業」、対話やディスカッションをベースにした「リベラルアーツ教育」、リアルライフなコミュニケーション手段としての「英語活動」を実践していこうと考えています。そのうえで、本校がこれまで培ってきた、留学やスポーツ、情報、福祉教育などの強みと実績を活かし、「自ら学び、他者とともに生きる力」の育成をめざして、新たな伝統の水が湧き出る井戸を掘り、内外に力強く発信していきます。

滋賀学園の展開する「21世紀型授業」 

このような流れを受け、この4月から一部の授業でタブレットを導入しました。

以下、その概要を簡単に紹介し、これらの取り組みについて次回以降、順に詳しく述べたいと思います。皆さんと一緒に考えていければ嬉しいです。

◇高校(2年Ⅱ類) 学校設定科目「国際理解」(週1時間)

【クエスト・エデュケーションプログラム】

現実社会と連動しながら「生きる力」を育む授業で、企業におけるインターンシップを教室で体験し、自ら感じ・考え・表現していきます。タブレットをフルに使ってフィールドワークやアンケート調査などの実務に取り組み、企業から出されるミッションに挑戦。情報を集め、チームで話し合いながらプランを完成させ、プレゼンテーションを行います。

◇高校(1年Ⅱ類) 学校設定科目「国際理解」(週2時間)

【Shiga-gakuen Future Leadership Program】

TVーCMにもなっていた、滋賀学園と日本ヒューレット・パッカードが共同して取り組んでいる「21世紀型教育モデル授業」です。タブレットPCを活用し、PBL(Project Based Learning)とICTを組み合わせた授業で、ワークショップとプレゼンテーションを中心に、企業や大学との連携、さらには地域連携も視野に入れた、21世紀型スキルを身につけるためのアクティブな学びを展開しています。

「変わりつづける社会に対応できる力」とは何かを追求し、大学の先生や企業担当者と協同でカリキュラムを開発。毎時間、Class Mentorとして大学生が授業に加わるのも大きな特徴です。

この授業を通して、次の3つのことをめざしています。

(1)リーダーシップを身につけ、次世代のリーダーになる
(2)ICT機器を使いこなし、より効率的・効果的な学習方法を自ら身につける
(3)これからに必要な21世紀型能力(Communication / Collaboration / Critical Thinking / Creativity)を身につける

◇中学(中1~中3全クラス)「総合的な学習」(週1時間)

【プロジェクト発信型英語プログラム】

自分の好きなこと、興味のあること、また日常の活動(勉強やクラブ、趣味など)について調べ、英語で発信することをめざす授業です。ICTをフルに活用し、インターネットで調べたり、写真や動画を撮影・編集したりしながら、最終的にプレゼンテーションツールを使って発表します。昨年まではPC教室据え置きのiMacを使っていましたが、今年度はHPのタブレットに移行しました。

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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  • 樋口 万太郎

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    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

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