2015.08.24
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アクティブラーニングの実践状況

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

 以前、ここでアクティブラーニングとICTの活用を始めてみたことを書いて以来、引き続き実践をしています。今回はこれまで約三ヶ月の実践の中で、良かったことうまくいったことはもちろん、うまくいっていないことについても触れてみたいと思います。
 
 まず、以前書いた(5分講義+5分自己演習+5分グループディスカッション)×3セットを行った後5分確認テストの授業形式ですが、残念ながらうまくいきませんでした。講義部分が5分で終了しないことが最大の原因です。この部分を支えていたのはICT活用だったのですが、以前ここで書いた「ICTとの戦い」に勝ったり負けたりしたことが大きな要因でしょうか。ICT活用の割合を減らすと板書が増え、それに伴って講義部分の時間が増えます。そのことで1回の授業で3セットするつもりが2セットになり授業進度が遅れたり、最後の確認テストが出来なかったりしました。それではあまり意味がありません。
 
 そこで原点に戻って何が重要なのかを再度確認することからやり直しました。
 
 最重要は、生徒の主体的な学習です。それを行ううえでやはり協働学習は欠かせません。様々な教育学で研究されているように、生徒は聞くだけより書くこと、書くことに加えて話し合うこと、実際に体験すること、他者に説明することで学習内容が記憶に残り定着します。ある意味教員にとっては残念なことかもしれませんが、教員が大きな声を出し汗をかきながら板書して講義をするより、隣の生徒に説明されて理解したときのほうが、生徒は「わかった!」と感じるのです。
 それでは講義は不要かというと、そのようなことはありません。やはり生徒より先を生きる人生の先輩としての知識と経験を伝えることは絶対に必要です。その土台の部分まで生徒の主体的な学習で進めるというのは無理です。この点を誤解すると、日常型のアクティブラーニングつまり毎授業の中で教科指導をしながらのアクティブラーニングに対して、ネガティブな考えの方向に進んでしまうのだと思います。
 
 次に大事なことは、確認テストと授業のふりかえりであると考えました。毎時間確実に確認テストを実施して達成感を感じさせること、授業のふりかえりを行い良かったこと悪かったことや出来たこと出来なかったことを確認することが、次回以降の授業につながると考えました。
 これについて、授業の最初に1枚プリントを配布します。
プリントは、日付、クラス名、科目名、何限目かをタイトルとします。
次に今日の授業内容として教科書のタイトル、登場する公式、ポイントやキーワードまであらかじめ記入しておきます。それに演習すべき問題を指示しておきます。
それからふりかえり部分として「リフレクションシート」と呼ぶ部分で表面が構成されています。
そして裏面が確認テストです。
 
 ふりかえりをする「リフレクションシート」の部分について少し詳しく説明をします。ここは、グループディスカッションを促進することを視野に入れて、「チームで協力する」ことを目標として、「相談する」こと「質問する」こと「説明する」ことをチェックします。また「チームに貢献する」ことを目標として、「手を動かす」こと「頭を働かせる」こと「口を動かす」こと「足を動かす」ことをチェックします。チェックの方法は、各項目が「積極的に挑戦できた」のか「いまいち取り組めなかった」のか「次回は積極的に取り組む」のかに丸をつける形式で、できるだけスピーディーに記入できるようにしました。これらの項目は、アクティブラーニング型授業を実践するにあたって繰り返し話をしてきたことです。
 説明することでチームに貢献が出来るのはもちろんですが、わからないことを相談したり質問したりすることでグループディスカッションが活性化されると考えています。また手を動かして頭を働かせてチームに貢献するのはもちろんですが、積極的に口を動かしてグループディスカッションが活性化しますし情報収集のために積極的に足を動かすこともチームへの貢献です。したがって、アクティブラーニングが活発に行われているほど、授業中の教室は騒がしいですし立ち歩く生徒も多く出ます。古典的な講義形式のみが授業であるとの視点で見ると「ダメな授業」なのかもしれません。
 
 ちなみに裏面の確認テストは、授業内容として指示をしてある演習すべき問題からそっくり同じ問題を出します。前回の授業内容を最初に確認テストしてから今日の授業内容に入る方法も試してみましたが、確認テストが出来たときの生徒の達成感が全く違います。その日の内容はその日のうちに確認テストしたほうが、出来る生徒の割合が高いのはもちろん出来たときの「わかった!」という気持ちが強いようです。さらに、授業の最初にタイトルから確認テストまで1枚のプリントで配布してしまうことはとても効率が良いです。あらかじめ確認テストの問題内容がわかった状態で授業を受けることに少し不安があったのですが、先回りしてそれしか考えないとか先にやってしまう生徒はいないようです。これはチームの力や雰囲気のおかげだと思います。
 
 このようにして1枚のプリントで授業の最初と最後を引き締めることが出来たので、授業にメリハリがついて生徒の理解度は上がったと思います。あとはどれだけ講義部分をコンパクトにしてアクティブラーニングとしてのグループディスカッションの時間を長く出来るかが課題となります。
この部分については予習とか授業準備とかの部分が大切なのはもちろん、やっぱりICTがもっと有効に活用できると良いのだと思います。残念ながらまだまだ試行錯誤の日々で、演習時間すらほとんど確保できない回の授業もあります。これをもっと改善して最重要な生徒の主体的な学習とそのための協働学習を活発にしなければと考えています。
 
 実際の授業を見ていただいたりプリントの現物をお見せしながらお話が出来ればきちんと伝わるかもしれない部分を文章のみで説明しようとしたので、十分に伝わらない部分があるかもしれません。申し訳ないです。
 今回は、配布する1枚のプリントを中心に実践していることについて話をしました。演習時間を少しでも多く確保しグループディスカッションを活発にするために試行錯誤している部分について、次回お話が出来ると良いと考えています。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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