2015.06.30
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文化祭はキャリア教育

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

 前回ここで、「ICTの活用」・「アクティブラーニング」について書かせていただきました。フェイスブックでシェアしてくださった方がいらっしゃり、大きな反響をいただき嬉しく思います。引き続きアクティブラーニングは試行錯誤中なのですが、その内容は後日にして、本日は三大流行語の残りひとつ「キャリア教育」について少し書きたいと思います。

 
 担任をさせていただいているクラスでは、在籍生徒数と同じだけの委員・係を準備しており、男女各1名の文化委員がいます。2年生ということもあり、文化祭がどういうものなのか、どんなタイミングで準備を進めていけばいいのか、生徒達はある程度イメージができるので、クラス全体への発信は行わず、文化祭に関しては文化委員にだけ指示をしたり問題提起をしたりして、まず文化委員に考えさせ、クラス全体へは全て文化委員からの発信としました。
この様にして、文化委員の生徒が少しでも『主体的に』行動できるように心がけました。
 
 まず、何をするのかを考えることからスタートです。選択肢としてステージ発表・映像作成・展示物作成があります。どれを選ぶのか文化委員が『思考』するとともに、文化委員からの指示でクラスの生徒全員に『思考』させます。そのうえで、朝の集合時間からホームルームが始まるまでの時間帯を使って何度も話し合いを行ったそうです。(この時間帯、職員朝礼中なのでどの様に話し合いが進んだのか、直接見ていません。全て文化委員からの報告です。)様々な意見が出る中で、最終的には文化委員が『判断』をしました。結果、色紙を小さく切って貼り絵を作り展示することになりました。
 
次に、それをどの様に『表現』していくかそれをどの様な手段で進めていくのか『知識・技能』を調べたそうです。(これも知らない間に話し合いが進んでいました。)その結果、担任である私は、色紙・のり・模造紙・マジック等の必要なものとその分量を書いた紙を渡され、手配することを依頼されました。これも文化委員を中心に買出しに出るという選択肢があったのですが、様々な色紙を使うためまとめて手配した方が経費が安いだろうという『判断』があったそうです。
 
 材料がそろったら、誰が下書きをするのかを決め、クラスを5つのチームに分けて各チームの担当部分に分けて作業を効率よく進め、完成したものをどこに展示するのか場所を決めていきました。
途中、文化委員のこのペースでは終了しないとの『判断』から朝の集合時間より30分以上早く生徒が『主体的に』集まり、放課後は部活動で十分な活動ができない生徒達が積極的に動き、『協働』作業ができ、最終的にはある程度余裕を持って完成させることができました。
完成したものは、縦が5メートルちょっと、横が3メートルちょっとの大作となり、当日の朝正門近くのかなり目立つところに展示しました。集合写真を撮って無事終了、生徒達は大きな達成感を感じてくれたようです。
 
 この様にして、文化祭の展示物作成を通して、生徒達は『』で書いたように様々な場面で、主体性・協働性を発揮し、思考力・判断力・表現力を育むことができ、それらの基礎となる知識・技能を身につけました。
 
 実は、タイトルの「文化祭はキャリア教育」は何かの本で読んだ内容にヒントを得ています。(大変申し訳ないですが、何で読んだものなのか思い出せません。)放任とも取れるくらい文化委員に何もかも任せて、自分達で解決して欲しいとの願いを込めてやらせてみました。結果、成功したので良かったと思います。
インターンシップやいろいろな講演会などに参加させることも「キャリア教育」ですが、その様なイベント型だけではなく、文化祭などの様々な行事や活動を通して、生徒を育てていくつまり「キャリア教育」を行っていく場所だと再認識しました。
 
担任としての私の仕事は、この経験を「点」で終わらせずに、得てきたものを次の行事や日々の学習活動に生かして「線」として繋いでいくことです。次は私自身の知識・技能を磨き、思考力・判断力・表現力をフル活用していきます。もちろん、私ひとりでやるわけではなく、校内はもちろん校外の皆さんも含めた、様々な皆さんとの協働です。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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