2015.06.11
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ICTの活用とアクティブラーニングを始めてみた

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

 最近の学校教育の世界での三大流行語は、「キャリア教育」・「ICTの活用」・「アクティブラーニング」ではないでしょうか。
この「学びの場.com」に教育つれづれ日誌を執筆されている先生方は、これらのキーワードに敏感な方ばかりだと思っています。
そんな先生が多くいらっしゃる中で、遅ればせながら最近「ICTの活用」と「アクティブラーニング」についてやっと実践を始めてみたので、この場で発表をしてみようと思います。
 
 まず「ICTの活用」という部分ですが、本校は数研出版の教科書・問題集・参考書を使っているので、同社の教材を使われている他校もそうであると思いますが、Studyaid.D.Bというソフトをプリント作成等で使用しています。この新課程に入って、このソフトにデジタル教科書というものが導入され、そこにプレゼンテーション機能があります。
いまひとつこの機能の使用方法が分からなかったので、教科の研修の時間に数研出版の担当者の方をお招きして、研修会を実施しました。
きちんと説明を聞いて使用してみると、思いのほか簡単だったので、試験的に自分が担任をしているクラスで使ってみることにしました。
 ただ、プロジェクターを使ってデジタル教科書の内容を投影するだけでは、何となく板書を手抜きしているような気がして、この半年ほどいろいろな本を読み、いろいろな先生方にお話を聞きながら学んできた「アクティブラーニング」と組み合わせてみようと考えました。
 
 「アクティブラーニング」については、産業能率大学出版部から発売されている、小林昭文先生の著書『アクティブラーニング入門』を最も繰り返し読みました。
前述の「何となく板書を手抜きしているような気」もそうですが、この様に様々な情報収集を行い学んでいくと、自分の考えが古典的な価値観であり先入観になっているなぁと感じました。
どうしてもある年齢以上の教員は、授業中に教員は黒板に板書をしながら説明をするもの、生徒はそれを黙って聞きノートに書き写すもの、問題を解く時には黙って一人で解くもの、授業中に他の生徒と相談しないもの、といった様なことはこれからの子ども達の育成や大学入試改革の方向性に完全には合致していないと考えるようになりました。
そこで、教員は隅から隅まで板書するとは限らない、生徒はノートに板書を写すとは限らない、問題演習は黙ってするとは限らない、授業中に他の生徒と相談することを積極的に推奨する、といった様にこれまでの価値観や先入観を一度全部捨てて見ることにしました。
 
 クラスの生徒達を6人から8人程度のグループに分け、生徒達いわく「まるで小学校で給食を食べるときの様な座席配置」で机を動かし、位置関係上見えにくければ動いても構わないことも伝え、これまでであれば10分から15分程度かけて板書し講義していた内容をデジタル教科書の内容を投影した黒板に追加記入のみする形式で5分以内に講義を終了させることを目標に行いました。残りの時間は5分間の自己演習と5分間のグループディスカッションの2部構成での演習時間を基本にして15分1セットで1回の授業でこれを3セット実施することを目安にしました。本校は50分授業が基本の学校なので、残った5分は確認テストの時間としてその回や前回の到達度はチェックすることにしています。
 
この様な思考を経て、自分のクラスの生徒達にこの経緯をできるだけ詳しく説明をし、新しい取り組みだから君達の意見を積極的に聞かせて欲しいということも伝えたうえで、導入に踏み切りました。
まだ数回しか実施していないので、1回の授業で15分の3セットのつもりが2セットしかできなかったり、確認テストができなかったりする回がありますが、生徒の声としては以下の様なものがありました。
 
「講義の時間が短いので集中できる。」
「板書をノートに写す必要がないので問題演習が多く出来る。」
「わからないところは先生だけではなくグループの友達にすぐに聞くことができるので良い。」
「これまでの数学の授業よりよくわかった」
 
この様に、おおむね好意的で良好な反応が多かったです。
もちろん演習の10分間に私はグループを巡回しながら様子を確認していますが、私に声をかけて質問してくる生徒よりも、グループ内のメンバーに質問や相談をしている生徒の方が圧倒的に多いです。
平素の友人関係にこだわらず、グループ内のメンバーに積極的に質問や相談をしていますし、数学が得意な生徒のところに出張して聞いている生徒もいます。
これは高校2年生のクラスであることと、進級から2ヶ月が経過していることも作用していると思います。
しかも、授業終了後にグループで引き続きああでもないこうでもないとグループディスカッションが続いている光景を多く見ることができましたし、私への質問もこれまでの授業より断然多く、質問内容も高度なものが多かったです。
例えば、「黒板に投影されている字が小さくて見えにくかった。」など改善要求もいくつか出ましたが、ほとんどのことはすぐに解決できるようなことだったので、対応できていると思います。
 
 まだ実践し始めたばかりで、私も生徒達も試行錯誤の段階ではありますが、確実に授業のスピードも生徒の理解も向上すると感じています。
何より生徒の反応や様子が、これまでより細かくわかるのが良いです。

今後も引き続き実施してみて、改善要求や問題点に対応していき、様々なバリエーションや詳しい生徒の反応をこの場に発表していきたいと考えています。 

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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