2015.02.17
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

予想させる言葉かけや活動

大阪府公立小学校教諭 松森 靖行

 みなさん、こんにちは。

 いよいよ残り1か月となりました。この時期は、いろいろと焦る時期かとは思いますが、できることには限りがあります。必要なことをしっかりと見極めて、本当に大切なことだけを伝えていきましょう。

 そして、笑顔で子どもたちを送り出しましょう。一年間過ごした担任や教科の先生と笑顔でお別れすることは、子どもたちの次への活力につながるのです。

 さて、今回は前回の続きです。「予想」をしっかりできるようになる子に育てることこそが、キャリア教育につながるというお話でした。今回は、「予想」をしっかりとさせる活動や言葉かけについてです。

 少し抽象的な話になるかもしれませんが、ご容赦ください。

 まず「予想」をさせるにしても、しっかりとした経験が必要となります。子どもたちには、その経験が圧倒的に少ないのです。語彙力が少ない、すぐにキレるなどの子どもたちの状況は、経験値が圧倒的に少ないことが原因の場合もあります。(もちろん、他の場合もあります。)今、学校教育は勉強さえ教えていればよいのではありません。人として、人間としての考え方、生き方をも教えなければならないのです。そして、その考え方や生き方をまとめて、「感性」と呼ぶように私はしています。

 そのような経験に基づいた「感性」が育っていないと、「予想」もできません。例えば・・・・

 岡山時代。若手の先生が大きな声を出させて音読をさせていました。パッと見れば、元気があってとても良い感じに映っています。私も若いころはそうだったな・・と思いました。そして、そのように活動をしている若手の先生を褒めたい気分でした。しかし、大きな声が次第に大きくなりすぎ、がなるような大声になっていきました。私は少々違和感を感じました。音読の後、若手の先生がどのように指導をするのか気になりました。「私だったら、大きい声ですごくよかったよ。でもね、大きな声と叫ぶのはちがうよ。大きな声だけど、聴いている人が気持ちの良くなる声を出してみようよ。と話をするな。きっとあの先生も・・。」と思いました。しかし、予想に反して、若手の先生は、「大変よくできました。もっと大きな声を出しましょう。」とその状況を褒めたのでした。

 これは、子どもたちだけでなく、先生の「感性」が育っていないことを表しています。先生の「感性」が育っていなくて、子どもの感性が育つでしょうか。

 「感性」、分かりやすく表現をすると、「美しい」か「美しくないか」、「良い」か「悪い」か、「気持ちよい」か「気持ち悪いか」を判断する能力だと思います。

 では、この若手の先生はどのようにすれば「感性」が育つのでしょうか。

 それは、いろいろな先生の授業やクラスを参観すること、いろいろな人と接すること、いろいろな本を読むこと、気が付いたことをメモをして残しておくことで「感性」は育つことができます。そして、遊びにいったり、出かけたりしたところで、少しでも心揺さぶるものがあれば、それを心にとめておくこと・・・・、保護者との対応で、保護者の気持ちを考えながら対応をすること・・・と、いろいろな方法で「感性」は育てることができます。

 えらそうに書いていますが、私自身も感性はまだまだ育っていません。子どもたちと、いろいろな状況について一緒に考えながら、子どもたちと共に感性を育てているところです。

 教師にとっては、生きている時間全てが学びなのです。

 以前、そのような話をすると、「きゅうくつだ」という話をある先生がされました。

 厳しい話をするようですが、その方は教師には向いていません。

 私たちは「教師」なのです。偉そうにしてはいけませんが、「教師」としての生き方があるはずなのです。それができないのなら、教師をやめるべきだと思っています。

 それでは。

松森 靖行(まつもり やすゆき)

大阪府公立小学校教諭
休日には全国の教員セミナーに講師・受講者として参加、仲間と切磋琢磨しています。2014年度は大阪府の教員となり、若手教員研修を担当。若手の皆さんと一緒に学び直しをしています。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop