2014.06.22
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学べない教師がいる実態

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 今年も「New Education Expo 2014」の東京会場(6月7日)に参加してきました。
東京会場と同時に、全国5つの会場(札幌、帯広、名古屋、広島、福岡)でも開催され、「未来の教育を考える」をテーマにした日本最大の教育関係者向けセミナー・展示会が、「New Education Expo」なのです。

 6月5日からの3日間に、東京会場では54の主たる展示見学・セミナー(1コマ2時間)のほかに、展示会場特設ステージで各種のミニセミナーが行われました。
すべて、事前予約制なので、どのセミナーを選ぶか、迷ってしまうぐらいでした。

 当日は、大雨が心配されるあいにくの天候でしたが、会場となった東京ファッションタウンビルは大賑わいでした。スタッフや展示企業関係者も多いわけですが、参加者も相当な数なのです。どの会場も満席に近い状態です。
主なジャンルとして、「学力向上」「教育の情報化」「大学改革」「学校の環境作り」などがあり、特別講演・基調講演、公開授業までありました。
魅力的な講演やセミナーばかりなので、多くの参加者が集うのは、当たり前かもしれません。しかし、「当たり前」とは言えない現状が、教育現場にはあるのです。

 私の身のまわりの日常をふり返ってみました。

 もちろん、子どもを教育するために、日々の授業を中心にがんばっている教師がいます。朝から印刷物を作ったり、掃除や生き物の世話をしたりしています。授業をするだけでなく、学級通信を作ったり子どもと遊んだりもします。また、保護者や業者対応、会議資料や提出物の作成もします。
こうした仕事は、勤務時間内に終わるはずがありません。勤務開始1時間前から始まり、午後5時や6時開始の会議をこなし、夕飯も食べずに帰宅は8時とか9時になることが多いのです。もちろん、休日出勤も多いのです。そうした日常は大変ですが、それが「普通の日常」になっているのが、教育現場の実態です。
こうした異常な「普通の日常」を送っているとどうなるでしょうか。すべてにがんばり過ぎて、時間も気力・体力もなくなってしまいます。ショッピングに行ったり、映画ぐらいは見るでしょうが、前述のようなすばらしい講演会やセミナーがあっても、参加する意欲はないのです。(意欲が出てこないと言った方がいいでしょう。)
仮に紹介したり誘ったりしても、「いいですよねぇ~。」ぐらいの言葉しか返ってこないのです。(返せないと言った方がいいかもしれません。)つまり、「いいものだけど、私は疲れているので行く気力がありません。」あるいは「そこまでは、できません。」ということなのです。

 また、一方では、それなりに仕事ができる教師がいます。ある程度の経験を積めば、一通りのことはできます(できるつもり)から、それで「自分はできる」と思っている教師です。中堅・ベテランで、これまでの経験で授業や校務を流している感じの教師がいます。最近増えてきた若手にも同じようなタイプがいて、周りのアドバイスを聞かず、マイペースな教師がいます。こういう教師に、前述のような講演会やセミナーを紹介すると、「私はいいです。」と言って見向きもしないのです。つまり、「私はできるので、学ぶ必要がないので行きません。」ということなのです。

 こうした『学べない教師がいる実態』をどのように考えたらよいのでしょうか。
みなさんは、この問いかけにどのように答えますか。

 教師の仕事は、基本的に教えることです。しかし、教えるだけでは、子どもは育ちません。「教えて育てること」ができるのが、本当の教師=教育者だと考えています。ですから、教えたがりの教師は教育者ではないと言えるかもしれません。むしろ、学びたがりの教師の方が、教育者として適任ではないかと思っています。もちろん、学ぶことで自分を省察し、それを教えることに活かせることが前提です。

 あと1ケ月で夏期休業となります。夏期休業と言っても、水泳指導や補習、保護者面談や公的研修会などでいろいろな行事等があると思います。それでも、学期中よりはゆとりがあるはずです。計画的に、「研究と修養」を予定し、少しでも『学べる教師』が増えることを願っています。

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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