2014.01.07
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若い先生たちへのメッセージNO.16「学び続ける一年に!」

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

 新年、明けましておめでとうございます。みなさまお揃いで、よいお年をお迎えのことと思います。今年は午年。草原を駆け回る馬のように、飛躍の年にしたいと願っています。昨年同様、今年もよろしくお願いいたします。

 さて、私事ですが、この冬休みに歯科の検診に行きました。私は虫歯にならないようにと思って、自分では神経質なほどにケアをしてきたつもりでした。しかし、歯科医の診断は予想外のものでした。私たちの世代では、歯肉を痛めるような歯磨きは逆効果だとおっしゃるのです。虫歯よりも、歯周病のケアを丁寧に教えていただきました。

 自分では一生懸命なつもりでも、プロの目から見ると的外れな努力であることは、この例に限ったことではありません。学校現場でも同様です。保護者のみなさんが子どもたちのテストの結果ばかりを気にして、宿題をしっかりやらせることや塾に通わせることだけにエネルギーを注いでいるとしたら、子どもたちの成長にプラスに働くとばかりは言い切れません。子どもたちが望んでいることは、話を聞いてもらったり、抱きしめてもらったりすることかもしれないのです。

 先日、「絆の構造」(高橋惠子著 講談社現代新書)という本を読みました。その中で興味深かったのは、「子どもを自立させようと思ったら、十分に依存させよ」という下りでした。こういった内容は、この著者が初めて指摘したことではありません。ずいぶん以前から、愛情をたっぷりと注いでいれば、子どもは自ら自立するものだということを、多くの人々が気付いていましたし、私もそれを伝えようとしてきました。しかし、学校現場を見ていると、こういった考え方が、保護者のみなさんに周知されていないように感じます。

 ネグレクトや虐待と言われるような極端な例でなくても、子どもに対して必要な愛情を注いでいないのではないか、そのことが原因で学校生活が不安定になっているのではないかと思われる様子を、これまでもたくさん目にしてきました。小学生になったら親離れをして当たり前だとか、何でも自分でやれるのだからやらせればいいという考え方を、ちょっと見直してほしいなと思います。

 前回の投稿の中で、私は「家庭と学校が子どもたちにとっての栄養豊かな土壌となり、必要な日差しと水分や養分を与えることができるように子どもたちを見守りたい」と書きました。家庭や学校が栄養豊かな土壌となるためには、そこに大きな愛情が注がれなければならないと思っています。愛情によって子どもたちの心が安定することが、学習意欲を高める一番の近道だからです。

 私たち教師は、木の枝葉ばかりを見ている訳にはいきません。大木に育てるためには茎や根っこの状態を見つめなければならないのです。私が歯科医に指摘していただいたように、問題はどこにあるのか、どこをどのようにすればいいのかを教育の側面からしっかり見極められるような教師をめざしていきたいと思います。

 では、そのようなプロとしての眼差しは、どのようにして培っていけばいいのでしょうか。まずは、経験が大切です。毎日の学校生活の中で、子どもたちを注意深く見守り、一人一人の実態や課題をはっきりさせていくことができるように努力していってほしいと思います。

 それに加えて、先輩の先生から学んだり本を読んだりして、常に研鑽を積んでいってほしいと思います。自分に投資することが、教師にとってとても大切なことだからです。

 私自身も学び続け、成長し続けていけるようにがんばります。そして、その中から有用なことを、今年もわかりやすくお伝えしていきたいと思っています。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

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