夏休みに入り、ほっとした気分でお過ごしのことと思います。私は先日、友達と連れだってバスツアーに参加しました。行き先は、上高地と飛騨高山、白川郷でした。
同じバスツアーに、若い先生お二人も参加されていました。お互いに別の地域で仕事をされているらしく、情報交換をする話が漏れ聞こえてきました。
「ねえ、一緒に学年を組みたいと思う先生っている?」
「いるよ、すっごく厳しい先生なんだけど、そのクラスはとっても楽しそうなんだ。どんなことをしているのか、のぞいてみたいな」
とても意欲的な会話を聞いて、嬉しく思いました。そして、若手にあこがれてもらえるような教師になり、たくさんのことを伝えていかねばならないと改めて思いました。
ところでみなさんも、夏休みには仕事を離れて楽しまれましたか?
私は今回のバスツアーで、まったく職業の異なる友達と一緒に過ごしました。学校の話をしても、ほとんど通じない相手です。ですから、話題は社会のことや、当たり障りのない世間話に終始しました。仕事に関して思いつくことがあったらメモをしようとノートを持って行ったのですが、一言も書かずに帰宅しました。結果的にはそれでよかったと思います。
普段は同僚と過ごす時間が長いので、たいていは仕事の話になってしまいます。それも楽しいのですが、頭から仕事のことが離れないのは、いいことではありません。たまには仕事のことを忘れて、自分のために時間を使いたいものです。
どこかに出かける効果は、気分転換以外にもたくさんあります。見知らぬ地域に行くと、そこの文化や生活について知ることができます。インターネットや本などで知ることと、実際に見ることや感じることとでは、その情報量は大きく違ってきます。
私は、白川郷で合掌造りの家の中を見せていただきました。梁の太さや、柱や壁の色を見て新たな発見があったばかりでなく、屋根裏のような3階や4階の部屋から見る景色に、心が癒されました。私の家の窓からは家屋しか見えないのですが、白川郷では山や田んぼの緑色のコントラストがとても美しく、同じ日本でもずいぶん景色の違う場所で生活しているものだと思いました。また、白川郷に限らず、観光地では古い家屋を維持したり、自然を保護したりすることに多くの努力がはらわれていることも実感しました。
このような体験から学んだことや感じたことは、ぜひ子どもたちと共有してほしいと思います。子どもたちにとっても体験は貴重なのですが、学校で体験できることには限りがあります。ですから、夏休みに体験したことを発表し合い、教師の体験を伝える機会も利用してほしいのです。体験のよさや体験するときの視点を明確にして、次の学習に生かしていくことができるといいですね。
さて、間もなく二学期が始まります。二学期には、運動会や学習発表会などの行事がたくさん予定されていることでしょう。夏の暑さを乗り切り、身体も心もリラックスさせて、仕事に臨んでいかれることを願っています。
ベテラン教師と、それを理解し支援してくれる仲間で作っているNPO法人TISEC(ティセック)では、若い先生からのご相談も受け付けています。子どもや保護者への対応、職場での悩み、授業などに関する相談ごとがありましたら、ホームページをご覧いただきお問い合わせください。すべての子どもたちが幸せな学校生活を送るためには、すべての先生たちが元気でなければなりません。私たちは、特に若い先生たちを支援していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
同じテーマの執筆者
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)