2013.05.06
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英語で授業することの利点と欠点

駿台学園高等学校 英語科教員 神戸 崇寛

前回の日誌には新学習指導要領施行に伴い、英語の授業をこの1年間どのように進めていこうと考えているか述べました。新年度が始まり約1ヶ月が経ちます。何とか今までよりは英語で指示を出し、わかりやすい英語に言い換えながら説明することで訳や文法解説が中心とならないように授業を進めることができていると思っています。

 

そこで、英語で授業を進めていく中で気づいた良い点と悪い点をまとめてみたいと思います。

 

良い点

英語で指示や説明をしていくと、学びが遅れがちな生徒にとっては教員の言っていることが理解できない場合が時々あります。そのような場面で、英語の得意な生徒が何をしたらいいのか教えてあげる学びの機会を見ることができました。生徒が英語を使うために取り入れている、ペアワークも楽しそうにやってくれています。

 

生徒も英語で「プリント忘れてきた(←本来はいけないことだが。)」のようなことを英語で言ってくるようになったので、英語を使うことに対する抵抗は少なくなっている気がします。今のところ、英語を使った授業をやめてほしいとの希望は出ていなく、何となく言っていることがわかっているようです。大体6割から7割理解できていればいいと思っているので、狙い通り。ハンドアウトの作り方も工夫次第でいくらでも生徒に英語を使わせることができるようになることも実感しています。

 

悪い点

教科書が大学入試や採択率を気にして作っているので、コミュニケーション英語と英語表現の両方に今まで通りの文法問題(例えば、並び換えや空所補充)を解かせる部分があります。そのような場面の解説まで英語でどうやって進めていったらよいのかわからずにいます。すべてを英語で説明する意義があるのかどうか考えてみる必要があると思います。たいていはこのような場合、単なる答え合わせになってしまうのだから、答えを配って自分で確認させられるような体制にしてもらいたいです。もしくは答え合わせをペアで対話しながらできるような会話が含まれた問題を作ってほしいものです。

 

間もなく中間試験が始まりますが、授業の方法を変えることは声高に言われてきていますが、その理解度を測るための試験はどのように変えていったらよいのか説明がないように思われます。どのような観点から問題を出していけばよいのか悩んでしまうところです。

 

「英語の授業は英語で行う」こととするという文言に端を発する今の状況。今度は大学受験にTOEFLを活用する案までも浮上し、ますます混迷を深める英語教育の世界ですが、またこの件に関しては今度論じてみたいと思います。

神戸 崇寛(こうべ たかひろ)

駿台学園高等学校 英語科教員
英語の文法に興味があり、大学院で研究してきました。2011年より現勤務校。日々英語を教えながら学び感じ取ったことをお伝えし、 皆さんと共有していきたいと思っています。

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