新年度が始まりました。ということは、新学期がスタートするということですね。
スタートするためには、いろいろな準備が必要です。学校では、学年学級の組織や校務分掌を決めるなどして、組織づくりをします。何度かの会議を通して骨格が決まると、今度は学年で動き、最後に担任として子どもたちを迎える準備をすることになります。
新年度は、すべてをリセットするチャンスです。昨年度までの経験と失敗を生かし、子どもだけでなく、教師も成長するようにしたいものです。
そのために、新学期が始まるまでに、学級担任であれば、次のようなことをします。
・各種の名簿をつくり、確認する。
・各種の名札をつくり、靴箱やロッカーなどに貼る。
・各種の調査票の準備や確認をする。
・教室や靴箱、ロッカーなどの掃除をする。
・お便り(学級通信や学年通信)をつくる。
・教室内の備品等の整理と確認をする。
・教科書の確認をする。
・副教材やノートなどの注文をする。
・学級開きや授業開きの用意をする。
・年間指導計画を見て、およその予定を確認し、当面の指導計画を立てる。
これ以外にも、校務分掌に関連した提案資料の準備や様々な書類の対応、異動した場合は異動関係の手続きなどがありますね。
とにかく、新学期前も忙しいですが、新学期が始まった1週間は、本当に目が回るぐらい忙しいものです。
こうした準備を一つの言葉で表すと、「教育的環境」と言うことができると思います。教師は子どもが目の前にいる時は、常に「教育的指導」をしています。子どもがいない時は、常に「教育的環境を整える」ようにしていると言ってもよいのではないでしょうか。
教育的指導をする時間は限られていますが、教育的環境を整える時間には限りがありません。ですから、やりはじめるときりがないとも言えます。
ところで、教育的環境は大きく2つに分けることができます。多くの教師は一方を意識的に重視していますが、もう一方は無意識的であまり指導していないことが多いようです。
私は、前者を「可視環境」と呼び、後者を「不可視環境」と呼んでいます。
「可視環境」とは、机や椅子の整理整頓、掲示物の貼り方や様子、座席、班や係、当番表など、見て分かるものです。これらは細かく言うと、「教室内可視環境」です。これに対して、「家庭用可視環境」として、お便りや連絡帳への返事、テストの丸の付け方など、保護者の目に触れる環境もあります。
これらは見れば、善し悪しが分かるので、教師は自然に力を入れてしまいます。
一方、「不可視環境」とは、挨拶や返事の指導、言葉遣いの指導、指導時の教師の指導法(言葉遣いも)などがあり、聞けば分かるものです。これらは、「教室内(学校内)不可視環境」です。これに対しても、「家庭用不可視環境」があり、教師の保護者への言葉遣いや電話対応、授業参観の言動など、教師の立ち居振る舞いと言うことができます。
子どもを育てていくためには、2つの可視環境とともに、2つの不可視環境も整える必要があります。それは、子どもの学力と心の学力、そして人間関係力をバランスよく伸ばすことになるからです。
私自身も子どもたちの手本になるようにしながら「不可視環境」という視点を持ち、「可視環境」を整備しながら、教育的環境をトータルで考えることで、子どもを育てていくようにしたいと思っています。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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