2013.02.11
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理科教師の国語授業

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 私は元々、理学部出身の中学理科教師で、小学校の免許を持っていませんでした。ですから、小学校教師になった頃は、特に国語の授業で苦労していました。苦労どころか、何を教えていいのか分からない状態でした。ある教材文を読んでも、何を教えていいか、何を発問していいかが分からなかったのです。その当時、やっていたことと言ったら、文学的文章では登場人物の気持ちをひたすら考えさせたり、指示語が何を指すかを聞いたりすることぐらいでした。また、説明的文章では理科に関連があるような教材文が多かったのですが、読んで何が分かったのかということを聞いた程度でした。今から考えると、本当に情けない授業だと言えます。

 こうした過去を反省し、その後は子どもたちに国語の力を付ける授業とはどういうものかを考えるようになりました。そして、ようやく少し分かりかけてきた頃、学習指導要領が変わりました。以前は文学的文章ならば、十数時間をかけて場面や登場人物の変化などを細かく読むことができました。ところが、今では同じ教材文を半分程度の時間で授業をしなければならないのです。授業の進め方とともに、時間(指導計画)をどうするかという大きな問題を抱えることになりました。

 国語は小学校低学年では、全授業時間の三分の一を占め、時間的に見ても重要な教科と言えます。もちろん、全教科を貫く言語として、話す・聞く・書く・読むなどの基本を教わる時間としても大事です。では、どんな授業をしていけば、子どもたちに力を付けることができるのでしょうか。専門機関で教わったことのない理科教師は、どのような授業をすればよいのか、悩みは深くなるばかりです。

 そんな私が、先日、3年生の国語で研究授業を行いました。単元は説明的文章の「かるた」です。そこでは、次のような3つの指導方針を設定しました。

(1)これまで要点のまとめ方については、「すがたをかえる大豆」の単元で具体的な方法を通して学んでいる。この単元でもその方法を使って自分たちでまとめさせるよい機会と考えている。つまり、キーワードとキーセンテンスを押さえ、体言止めで要点をまとめていく技術を身に付けさせる。
(2)「ありの行列」や「すがたをかえる大豆」の学習時に学んだ「読解に必要な用語」を、学級の共通のコードとして再確認・活用しながら進め、身に付けさせる。
(3)3年生で学習する説明的文章のまとめにもなるので、説明文の文章構成(三部構成=はじめ-中-おわり)をとらえさせ、筆者の言いたいこと(主張)をまず確認し、その主張の根拠となる因果を読ませる『逆思考の読み』を使う。そうすると、中の段落(2~5)がその根拠になっていることがよく分かり、学習の意欲にもなるからである。こうして、分かりやすい説明文の在り方(書き方)と、説明文の読み方を身に付けさせる。

 最近、説明的文章は論理を読むことだと考えるようになりました。その論理とは、たとえば、文章構成であり、段落の要点をまとめることであり、筆者の主張が分かったかどうかということです。
 この論理というのは、理科と共通点があります。文章構成のはじめ・中・おわりの「はじめ」は、実験・観察の動機と目的に当たります。「中」は実験・観察と結果で、「おわり」は分かったこと(考察)と感想・反省に当たると考えられるからです。

 前述の指導方針は、子どもをこう指導するというだけでなく、教師自身がこう指導しなくてはいけないという強い思いの表れでもあります。

 私はかつて、「要点」「要約」「要旨」の違いも、指導方法も知りませんでした。今では、(1)のように指導し、繰り返すことで身に付けさせるようにしています。
 また、「文」「句読点」「段落」「キーワード」「キーセンテンス」など、国語を学習していく上で必要と考えた用語(読解に必要な学習用語)を普通に使い、進級・進学しても国語学習に役立つようにしています。
 さらに、子どもが自分でも学習が進められるように、在り方(文章構成)や読み方を教えるとともに、テスト問題もできるように指導しています。

 しかし、これだけでは、子どもたちが興味をもって学習するとは限りません。そこで、研修会で学んだ技術を自分なりにアレンジして使っています。今回は、筑波大学付属小学校の白石範孝先生が提案された『逆思考の読み』を仕掛けてみました。
 まず、文章構成を読み取った後、「おわり」に記されている筆者の主張を先に読み取ります。その主張に対して、「筆者のその主張に納得できるか、段落の要点を押さえながら読んでいこう」という課題を立てます。こうすることで、機械的に段落の要点をまとめるだけでなく、それだけで筆者の主張に納得できるかという説明文全体を見通した読みができるようになるからです。
 また、「かるた」では中の4段落があってこそ、筆者の主張が納得するものになっていることにも気づかせたいと考えたのです。つまり、納得させるには、どう説明したらよいかという逆説的な学習もさせたかったのです。
 こうした学習は、高学年さらには中学・高校の理科にもつながるところがあると考えています。

 理科教師の考える国語授業は、かなり欲張りで異質なものかもしれません。しかし、教師も子どもも楽しんで読み、力を付けることができれば、それでよいのではないでしょうか。
 簡単ではありませんが、理想の実現に向けて、なお一層、楽(たの)きびしい授業づくりをしていきたいと考えています。

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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