この冬は11月から寒さが増し、例年以上の積雪となっているところが多くなっていますね。「冬らしい冬」と言うことができるでしょう。
ところで、私のスキーシーズンは通常11月から翌5月までです。「下手の横好き」のレベルですが、若い頃はシーズン30日はスキー場に通いました。行くと休憩も取らずに、リフトに30本以上乗り、滑りまくります。そんな話をすると、
「よく飽きないね。」
と、呆れた表情で言われます。それに対して、
「自然の中で、自分の思うように風を切り裂いて滑る感じが最高な気分なんです。」
などと言っていました。
ゲレンデの自然だけでなく、スキー場に異なる周囲の風景もいいのです。どのスキー場に行っても、ゲレンデトップからの眺めは最高です。遠くの雪山の様子や眼下の湖、時に見られるスノーモンスター(樹氷)や野生動物、雲海など・・通常、見ることのできない風景は、何かワクワクした期待感を与えてくれます。
そうした環境は、私の脳の中にα波を発生させてくれているようです。滑る楽しさとの相乗効果で、スキーに行くと心身共にリフレッシュされるのです。
ところが、自分のためだけのスキーだと思っていたのが、教育と似ていることに気付き始めました。そのきっかけは、今シーズンの初滑りにありました。
すでに、年内に5回スキーに行きましたが、初滑りは人工雪のスキー場(写真 左)でした。まだ、500mほどのリフトが2本動いているだけでした。私は、一方のリフトに40本以上乗って滑ってきました。
8時30分の営業開始時は氷点下で、全面アイスバーン状態(写真 中)でした。当日は曇りベースの日でしたが、12月初めということで、気温は少しずつ上がってきました。また、来場者も増え、リフト待ちもできる状態にもなりました。
すると、どういうことが起きるでしょうか。
ゲレンデの状態が刻々と変化するのです。
気温の上昇により雪面の緩みや溶けの程度は、時間とともに二次曲線のように変化し、雪質が変わります。スキーやスノーボードの滑走頻度によって、ゲレンデコンディションも変わります。時に、ゲレンデが深くえぐられていたり、穴があったりもします。そもそも圧雪車によるゲレンデの圧雪状態も場所によって違うのです。
また、まったく同じラインで滑ることもありません。
ですから、40本滑ったとしても、全く同じ滑りはないのです。しかし、1本の滑りを最高にしようとする思いはあります。思いはあっても、その通りに滑れることは、ほとんどありません。私の場合は、5%程度でしょうか。
雪面と斜面の状態に合わせて、瞬時にエッジの入れ替えや体重移動をして、最高のライン取りをして、イメージ通りの滑りを目指します。もっとも、それ以前の問題として、体力や体幹を鍛えておかないと、体がついていきません。
こうしたスキーの在り方が、教育によく似ていることに気付いたのです。
刻々と変わるゲレンデの状況は、学級の子どもと子どもたちの様子と同じです。日によって、時間によって、個人でも変わるし、集団としても変わることがあります。特に、交換授業や出授業から学級に戻ってくると、ガラッと雰囲気が変わっていることがあります。もちろん、様々な要因で一人ひとりの子どもにも変化が見られます。
ゲレンデ状況の変化を見通し、予想しながら、イメージ通りの滑りをするためのライン取りをして滑ることは、子どもと子どもたちの変化を受け入れながら育てることと重なります。そのためには、「変化を受け入れるだけの心のゆとり」と「教育技術」が必要となります。したがって、教師は学び続けなければならないということになります。
もし、ゲレンデの状況に合わないスキーをしたら、転倒などのリスクを負うことになります。学級も同じで、子どもと子どもたちの実態に合わない教育をしたら、成果が上がらないだけでなく、学級崩壊などのリスクを高めることになります。
初滑り後のスキーでも、一日中、アイスバーンの厳しい時もありました(写真 右)。教育においても、授業や学級経営がうまくいかず厳しい時があります。その厳しさを乗り越えるためには、技術が必要です。様々な技術を身に付けて、教育哲学を形成しようと努めていれば、よりよい方向に持って行くことができるでしょう。
2013年も最高のスキーと教育を目指して、元気と勇気をもって学んでいきたいと考えています。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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