前回に引き続き「学級通信で名言・至言の活用を!」,今回は活用術編です。
学級通信の要所要所で,名言・至言の言葉の力を借りて子ども達や保護者に担任のメッセージを伝えることで,「角が立たず,鼻につかず,説得力を伴って指導方針などを伝えることができるのではないか」と前稿で述べました。
それでは,どのように名言・至言を収集し,どのようなことに留意して活用すればよいのでしょうか。以下はあくまでも私見です。参考までに…。
9-2.名言・至言の収集術
(1)いつもいろいろな書籍を読みあさる。
(2)著名人のホームページ等を定期的にチェックする。
教育関係だけでなく,ビジネス書や雑誌の対談もの等,意識して目を通していると,結構良い言葉が載っているときがあります。「これは!」と思う名言・至言を見つけたら,コピーしたりメモしたりしておきます。そして,機を見計らって学級通信で引用します。
ただ,これらはストック型です。使いたい言葉を,使いたいときに,すぐに使うことができにくいというデメリットがあります。そこで,
(3)インターネットで検索をかける。
緊急時のおすすめです。例えば,「名言 努力」で検索をかけると,
「小さいことを積み重ねることが,とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。」(イチロー)
「千日の稽古を鍛とし,万日の稽古を練とす。」(宮本武蔵)
などと,著名人の名言・至言にすぐにたどり着くことができます。
中には,
「努力した者が全て報われるとは限らん。 しかし,成功した者は皆すべからく努力しておる!!」(森川ジョージ著「はじめの一歩」より)
「明日からがんばるんじゃない。 今日をがんばり始めた者にのみ明日がくるんだよ!」(福本伸行著「賭博破戒録カイジ」より)
などと,有名な漫画の?登場人物の名言・至言にヒットすることがあります。(学級通信に載せる・載せないは別として…)
また,
「才能の差は小さいが,努力の差は大きい。継続の差はもっと大きい。」(不詳)
のように,誰が言ったのかはわからない言葉にもヒットします。(誰が言ったか分からない言葉でも,担任の一言よりも説得力があるのはなぜでしょう…??(+_;))
さらに,例えば「羽生善治 名言」と,人物名で検索をかけると,
「才能とは,努力を継続できる力。」
「私は才能は一瞬のきらめきだと思っていた。しかし今は,10年とか20年,30年を同じ姿勢で,同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。」
「ビジネスや会社経営でも同じだろうが,一回でも実践してみると,頭の中だけで考えていたことの何倍もの『学び』がある。」
「誰でも最初は真似から始める。しかし,丸暗記しようとするのではなく,どうしてその人がその航路をたどったのか,どういう過程でそこにたどり着いたのか,その過程を理解することが大切だ。」
「追い詰められた場所にこそ,大きな飛躍があるのだ。」
などと,羽生善治氏の多くの名言にふれることができます。
?一流の人の言葉,人生観には学ぶべきことがたくさんあります。折を見て子ども達や保護者に紹介することで,教育的効果を得ることができるのではないかと思っています。(ちなみに,私がいつも人生観・勝負観などで参考にしている著名人は,羽生善治氏,イチロー氏,故スティーブ・ジョブズ氏,池田大作氏…等です。)
9-3.名言・至言の活用の際の留意点
(1)引用の域を超えない
引用はあくまで引用。その域を超えてはならないのは言わずもがなです。そのために,誰が言った言葉なのかを明記することを忘れてはなりません。また,雑誌等から引用した言葉であれば,出典を載せておくことも大切でしょう。
(2)多様は禁物
いくら説得力があると言っても,濫用は禁物です。いつもいつも他人の言葉ばかり引用していては,説得力を失うどころか,かえって鼻につく場合もあると思うからです。教師が何かを伝えたい「ここぞ!」という場面で活用することが肝要です。
(3)名言・至言の真意と,教師の解釈・伝えたいこととのニュアンスの違いに注意
「先を見て点をつなげることはできない,できるのは,過去をふり返って点をつなげることだけだ。」

西村 健吾(にしむら けんご)
米子市立福米東小学校 教諭
「豆腐のような通信を!(1.マメで 2.四角く 3.やわらかく 4.面白く)」をモットーに、学級経営に果たす通信の役割を見直し、日夜創意工夫に励んでいます。一つの実践提供になれば…。
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