5月21日は、金環日食が見られた日です。日本中が期待し、興奮することになりました。
勤務校のある小中学校では、全校で登校を30分早め、それぞれの学校で金環日食の観察をすることになりました。市の教育委員会では、1校当たり50個程度の日食メガネが買える予算をつけてくれました。本校では、いち早く全児童140人分の日食メガネを購入し、観察計画を立てていました。
金環日食当日は月曜日ですので、その前週の理科の時間に、当日の観察の仕方や注意事項を話すとともに、動画を視聴して日食の理解と興味関心を高める事前学習を行いました(写真 左)。また、日食メガネの正しい使い方を実地に練習しました。児童の中には、詳しい子や情報を持っている子もいますが、同じ土俵の上で感動体験をしてほしいと考えたからです。
ただ、最大の心配毎は天気でした。雨天でも30分早めの登校ですので、観察中止時は体育館で日食関連の動画を見られる用意をしました、もちろん、動画ではなく、本物の日食が見られることを期待してですが。
そして、いよいよ当日です。朝5時に起きると、晴れているではありませんか。もうわくわくして、学校へ向かいました。もう部分日食は始まっています。7時前に学校に着くと、子どもたちを迎える準備です。晴天に誘われて、子どもたちの足取りも軽そうで、予定時刻より早く集団登校してきました。一緒に歩いてくる保護者もいます。
登校した子どもたちは、教室にランドセル等を置き、4年生以上は事前に用意しておいた記録用紙付きの探検バックを持ち、校庭に出ます。各学年の担任から日食メガネを受け取り、早速、観察の開始です。先週と形の違う太陽に驚いたり、射光板により色が違うことに関心したりしていました。4年生以上の子どもたちは、太陽が欠けている様子を観察して、記録用紙にスケッチしました。また、高学年は「ピンホール式日食投影しおり」を使って、投影した画像も見ました。低学年の子も正しい観察ができていました(写真 中)。
7時33分頃、金環になった時はあちこちで歓声があがりました(写真 右)。
神秘的で感動的な体験を、予想外の晴天の中で、多くの友だちやお家の人と共有できたことは一生の思い出になったのではないかと思っています。
子どもたちの感想
A子さん「私は初めて金環日食を見ましたが、とてもすごかったです。太陽が月を隠して、金の輪っかができてて、すごかったです。」
B子さん「私は初めてだったので驚きました。三日月から円になるときは、すごいなーと思いました。円くなった時、とてもきれいに円になっていて驚きました。」
C男くん「思った以上に月の動きが速いので少し驚いた。次に見られるのは、何年も先だということなので、この機会に見られて良かった。」
D子さん「金環日食が見られてとてもうれしかったです。部分日食の時もとてもすごいと思ったけど、金環の方がとてもきれいでした。ピンホールで見たのもすごかったです。家族で見られてよかったです。」
E子さん「金環日食のリングが、とってもきれいだった。写真にとりたかった。もう少し、リングが続けばよかった。わたしは、この時代に生まれてよかった。」
F子さん「指輪の形みたいのを見られてよかった。」
「金の輪っかが見えたよ」は、誰にも何も言わなくても感動してしまう自然の神秘を、象徴するような言葉ではないでしょうか。金環日食の観察を通して、「人を動かすのは環境だ」ということを改めて感じました。
今年度は、そういう教育環境づくりに努めていきたいと思っています。
大谷 雅昭(おおたに まさあき)
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。
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