東久留米市の中学校では給食がありません。あらかじめスクールランチを注文しておけば、仕出しのお弁当を食べることも可能ですが、基本的にはお弁当持参となります。
そこで、中学校進学を前に、栄養士による食育指導もかねて、お弁当作りの実習を行いました。
まず、赤・緑・黄の食品について学習しました。赤の食品はタンパク質を多く含む食品で、体の中で血や肉になります。肉・魚・卵・大豆・豆製品・牛乳・乳製品などです。緑の食品はビタミン、ミネラル、食物繊維の多い食品で、体の調子を良くする働きをします。野菜・いも類・海藻・くだものなどです。そして、黄は糖質を多く含む食品で、力や体温になります。穀類・油脂・砂糖、お菓子なども含まれます。毎日の食事では、一食ごとにこの三色をバランスよく摂ることが望ましいそうです。
それから、この三色の食品を主な材料として調理した場合、黄色は主食、緑は副菜、赤は主菜となります。それを3対2対1で食べることが理想的であることを学びました。お弁当の場合も同じ割合で詰めていくことの大切さを知りました。
また、割合だけにこだわるのではなく、調理方法を工夫したり、旬の素材を取り入れたり、彩りを考えて作ったりすることによって、食欲を引き出すことが大事であることも学習しました。食べたいと思うような献立を考え、健康を視野に入れたバランスの良いお弁当を作ってみようということになりました。
実習では、ポテトサラダと卵焼きを作りました。ポテトサラダは教科書にも掲載されているのですが、粉ふき芋を作ったり、キュウリを塩もみしたりと、手間がかかります。友達と協力して手際よく作らないと時間内には終わりません。卵焼きは、好みの味付けの後、卵焼き専用のフライパンで、本格的に作ります。火の加減を調節したり、卵を流しいれる量や、巻いていくタイミングを計ったりするので、これも技術のいる料理です。
その料理の作り方を確認しながら習得することも目標として、いよいよお弁当作りに挑戦しました。
グループの友達と話し合い、あらかじめ手順や分担を考えていても、実際にやってみると予想外のことも起こります。誰が片づけるのだろうとか、ごみはどうするのだろうとか、お弁当に詰めていくための手順はどのようにしたら効率的であるかなどです。
給食室で用意してくれたご飯とから揚げ、野菜料理、ミニトマトを合わせて、詰めていきました。ご飯を詰めた後、ゆかりのふりかけや海苔で、飾り付けをしました。友達と協力して、笑顔を見せながら、お弁当を完成させることができました。
子どもたちの感想の一部をご紹介します。
《調理したときの感想》
「ポテトサラダを作るために、ジャガイモとにんじんをゆでたり、粉ふきにしたりと、初めてのことが多く苦労しました」
「卵焼きは、フライパンを持ち上げて火の加減を調節したり、卵を流し入れる量を考えたりしたので難しかったです。イメージ通りにいかないなと苦戦しました」
「ふたつの料理でかなり時間をかけてしまったけど、ふだんお母さんは、料理を三つも四つも作っているので、すごいと思いました」
《お弁当に詰めるときの感想》
「詰めるとき、彩りをよく考えました。サラダをカップに詰めて、から揚げはレタスを敷いてから詰めました。おいしそうに見えるように作ることができて、よかったです」
「お弁当を詰めるのが初めてだったので、緊張しました。お弁当を開いたときに、明るい気持ちになったり、食欲が出たりするように考えなければならないことが、よくわかりました」
これらの他にも、中学生になったら、自分でお弁当を作って持って行きたいという、意欲的な感想が多かったです。ぜひ、この学習を生かして、美味しいお弁当を作ってほしいと思います。
ところで、6年生の子どもたちは、あと数日で卒業です。私は5年生からの二年間を担任しましたから、寂しさはひとしおです。
これまでたくさんの子どもたちを担任してきましたが、東日本大震災の大地震を、共に体育館で体験した彼らとの思い出は、特別なものとなりました。
卒業間際になって、福島への復興支援活動も行いました。福島市出身の私を、いつも気遣ってくれた子どもたちでした。
中学生になっても、私と過ごした日々を時々は思い出してほしいと思います。そして、自信をもって、歩き続けていってくれることを期待しています。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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