滋賀県のイメージは?・・・と聞かれて、みなさんは何を思い浮かべますか?
僕が真っ先に思い浮かべるものは「琵琶湖」です。京阪神に住んでいる人の多くは「マザーレイク」という言葉に、近畿の水がめとしての琵琶湖のイメージを重ね、滋賀県のシンボルとして位置付けています。
ところが関東の人たちに言わせると、いつも琵琶湖が出てくる滋賀県の観光ポスターやイメージ広告にはどうも違和感があるらしいのです。美しい湖といえば「富士五湖」とか「十和田湖」を思い浮かべ、琵琶湖は単に一番大きいという印象しかないそうです。
また、TVの何とかサスペンスみたいな番組で、琵琶湖岸で事件が起こって捜査が行われるとき、決まって登場するのが京都府警だったりすると、琵琶湖って京都にあるんだってねぇ~・・・なんてことにもなりかねません。
一方で「近江」という言葉からくるブランドイメージは高く、関西では「おじいちゃん、おばあちゃんの田舎」というイメージなのに対し、関東では「歴史がある土地で、豊かな文化財に恵まれたところ」、「近江商人」、「近江牛」・・・という見方になるといいます。
確かに、その土地で生活している人が描くイメージと、実際にほとんど目にしたことがない人が限られた情報から想像(?)するイメージとでは大きな違いがあります。
有名な観光地だって遊びに来た人が行き交う華やかな表通りの一歩裏には、そこで日々生活を営む人たちの暮らしがあるわけで、同じ景色をハレ(遊び)の目でとらえるか日常の目でとらえるかによって、印象は180度変わってきます。
しかし、そのいずれもが街の姿であることに変わりはなく、どちらがいい・悪いは別にして、いろいろな角度から幅広く受けとめてこそ初めてその街が理解できるということは間違いありません。
教育の現場だって同じことだと思います。
毎日、子どもたちに接していて、いったいどれだけのことがわかっているのか・・・。限られた情報のみで判断してしまうことなく、一歩引いた広い視点で捉える意識を持たないと、物事を見誤ってしまうことにもなりかねません。

安居 長敏(やすい ながとし)
滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。
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