2012.03.02
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年度末の育ち

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 年度末となり、この1年の学びで大きく育った子どもたちは、予想以上の動きや活躍を様々な場面で見せてくれています。

 先日の道徳の授業では、ねらいとした内容項目を超えるほど、子どもたちは感じ考え、行動しようとする様子を見せてくれました。
 そのテーマは、「働くということ」でした。学習指導要領における道徳としてのねらいは、「働くことの大切さを知り、進んでみんなのために働く」と「父母、祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくる」です。

 まず、お家で働いている人をノートに書いてもらいました。続いて、どんな仕事をしているか(職種または仕事内容)を書いてもらいました。
 次に、何のために働いているのかを考えてもらい、自分の考えをノートに書き、全員に発表してもらいました。子どもたちからは、次のような考えが出されました。

 ・お金をかせぐため
 ・ぼくたちのため
 ・私たちが学校や塾に行くため
 ・生きていくため
 ・家族と家計のため
 ・生活のため
 ・家族が幸せになるため
 ・子どものため
 ・人のため
 ・物を買うため

 以上の10に集約される考えが出された後、もっともいいと思えるものを選んでもらい、自分の考えを深めるようにしました。子どもたちは、「ぼくは○○だと思っていましたが、□□という考えもあるんだと思いました。」など、友だちの考えのよさなどに気づくことができました。

 全員が発表した後、次のように言いました。
「働くということは、直接的には家計、つまり生活にお金を使うためです。でも、本当の 目的は、自分たち家族と世の中の人の幸せのためなのです。」
 これまでも、学校や道路などはお家の人が働いたお金(税金)で作られていると話してきましたから、子どもたちには容易に理解できたようです。
 指導内容としてはこれだけだったのですが、子どもが書いた「思ったこと、感想」には、よく考えた内容が書いてありました。どの子も光るものがありましたが、その中から4人の感想の一部分を紹介します。

・A子さん:お父さんとお母さんは、ただお金をかせぐためだと思ったけど、そうではなく幸せという大きな目てきがあったという事が、今日、勉強して分かりました。私は、日本人(大人の人)が全員はたらくと、日本に幸せがあふれると思ったので、これから大人になったらはたらきたいです。これから私は、一歩一歩ふみだし、どんどん大きくなってはたらきたいです。

・B男くん:ぼくは今日、はたらくということの本当の意味を知りました。本当の目てきは、幸せのためです。ぼくはそれを知って、お父さん、お母さんは、毎日、大へんな仕事をして、すごくつかれているんだなと思い、今日から手つだえる家の仕事はたくさん手つだって、少しでもお父さん、お母さんをらくにしたいと思いました。あと、仕事は、ぼくがおもっているい上に大へんだと知って、お父さん・お母さんに感しゃしたいと思いました。

・C子さん:はたらくということは、幸せになれることなので、はたらくということは大切だと考えました。お母さんやお父さんは、がんばってはたらいていて幸せにしてくれるので、自分もがんばってお母さんやお父さんを幸せにしたいです。

・D男くん:ぼくは、はたらくということは、家族のためでもあるし、人のためでもあることがわかりました。なので、自分も一しょうけん命勉強し、お父さん、お母さんのお金をむだにしないで、がんばろうと思いました。そして、お父さん、お母さんに感しゃをして、がんばります。ノートとかも大事に使い、さいしょからさい後まできちんと、買ってくれた物を使って、勉強もたくさんがんばろうと思いました。お父さん、お母さんにとても感しゃをして、ていねいな字を書き、よろこばれるような人間にむけてがんばろうと思います。あとゆめにむけて、お父さん、お母さんに「はたらいてくれてありがとう」と言いながらがんばっていこうと思います。

 あと1ケ月足らずとなりましたが、私も精一杯、働くことの意義を考え、実践していこうと考えています。 

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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