2012.01.18
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今年を漢字一文字で表すと・・・

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長 安居 長敏

みなさんお久しぶりです。都合で2回、お休みをさせていただきました。今回が今年になって初めての投稿です。どうぞよろしくお願いします。

毎年、年末になると、一年の世相を表す漢字がニュースになります。昨年は「絆」ということで、多くの人が《ひと・もの・こころ》のつながりを改めて感じた一年でした。

それに影響されてということではないでしょうが、昨年末の忘年会で学園長から、中高の教職員全員に「今年一年を振り返って、自身の仕事(学校)を漢字一文字で表してみてください」との課題が出ました。

実は本校では毎年、年末年始の特別休暇を前に、学園長から何らかの《宿題》が出ます。年末年始を利用して理事長と学園長がそれを審査し、年明け最初にその中から優秀なもの3点が選ばれ、優良可のランキングをつけて表彰されます。

副賞として図書カードがもらえるのですが、最優秀者が7割、良(2位)が2割、可(3位)が1割という、かなり最優秀者を意識した配分(1位でないとダメなんですか・・・ではありませんが、そこに学園長の思いがあるようです)になっていて、新年早々その発表が話題を呼びます。

以前は、けっこう長いレポートや、学園の将来構想への提言など、意見をまとめて出す形が多かったのですが、さすがに読むのが大変だということなのか、言いたいことのイメージを「いかにうまくまとめるか」といった《見せる・訴える》要素も加味しながらの課題になってきています。

☆2010年(一昨年)は「今年の10大ニュース」

一昨年の課題は「今年の10大ニュース」で、学校に関すること、自分の仕事に関することでトップニュース10個を挙げ、理由を添えて順位付けをし、A4用紙(枚数指定なし)にまとめて提出せよ、ということでした。

私は、理事長のご主人である事務局長が学園長に就任され、学園全体の教学部門を含めた統括をされるようになったことを1番目に、新校長の就任、自分がリーダーを務める改革プロジェクトの成果等々をあげ、10番目に「今年一年の10大ニュースの提出」と記し、次のようなことを書きました。

”過ぎゆく一年を振り返り、我が身の生活、仕事、言動などを総括することは、来るべき新年度をよりよきものにする第一歩である。人生においてその必要性を強く感じるのは、ある程度の年齢になってからかもしれないし、何らかのきっかけ(今年何か嬉しいことがあったとか)からかもしれない。 木は風雪に耐え、自己の成長と周囲の環境をその年輪に刻んでいく。私たちも日々、仕事やプライベートで大小数え切れない出来事を経験し、年齢を積み重ねている。”

”忘年会の席上、理事長先生がプライベートなことを引き合いに出され、「我が家の10大ニュース」の一端をお話しされ、それを受けて学園長先生が全教職員に「今年の振り返り」の提出を指示されたことは、まさにお二人の連係プレーで「一年のけじめをつけて、人生を刻め」とお教え下さったのだと私は受け止めた。”

”ここに挙げた10項目はその一部、滋賀学園での振り返りに過ぎないが、プライベートも含めて「今日のささやかな喜び」を「明日への励み」にする意味で、今回こういった機会を与えて下さったことに感謝申し上げ、今年一年のお礼としつつ、10大ニュースの締めくくりとしたい。”

結果、みごと最優秀賞をいただき、幸先のいい一年のスタートを切りました。もちろん、図書カード(内緒ですが3000円のものが、なんと7枚も!)は参考書等の購入に大変ありがたく使わせていただきました。

☆2011年(昨年)は「今年の漢字(一文字)」

そして昨年末・・・。最初にも書きましたが、課題として出されたのが「今年一年を表す漢字一文字」でした。

A4用紙1枚にまとめ、メールに添付して提出せよ。

この指示をどう捉えたかが教職員によってかなり違ったようで、選んだ漢字そのものや理由はもちろんのこと、《まとめる》ということをどれだけ意識したかということも大きなポイントだったようです。それをうっかり見過ごした、あるいは重要視していなかった者は、漢字一文字に一行程度の理由を添えておしまい。これでは、伝わりません。

センスや性格、あるいは課題そのものを単なるイベントとして軽く考えている”強者”(これが教職員の一面を評価することにつながっていることをまったく気にしていない教職員)もいますが、私たちが生徒に出す課題同様、それをどう受け止め、どういう形で提出するかは、その人の姿勢を端的に表す部分でもあります。

学園長にとってみれば、そのあたりのことをわかって欲しいという意味で課題を出しているのに、それすらわからない教職員がいることに半ば愕然とする・・・と、年始のコメントで苦言を呈しておられました。

☆私の選んだ「漢字一文字」

さて、そんな中で私が選んだ漢字一文字は『結』でした。結ぶ、団結、結束・・・。漢字の持つイメージそのままを、次のような理由を添えてまとめました。(実際のレポートは字体や文字の大きさを工夫していますが、ここでは文面だけ)

”新シガガク宣言を前面に掲げ、積極的な広報活動をめざした今年を漢字一文字で表すと、どうしても前向きな漢字(勢、挑、新・・・)で表現したくなるのですが、そこをもう一歩踏み込んで、 「結」 としました。”

”滋賀学園中学・高等学校が地域に認められ、すばらしい学校として力強く発展していくためには、何よりもまず、学園で仕事をさせていただいている我々教職員が知恵と力を出し合い、子どもたちの夢を実現できるようなしっかりした指導を行うことだと、私は考えています。”

”教職員が結びつながることで、子どもたちの満足感、笑顔を生んでいきたい・・・。”

”現状より一歩進んだ滋賀学園中学・高等学校を創るために、皆で力を合わせ、本来なすべきこと、教師として果たす役割を今こそ全員が行うべきだということで、つながりをつくる仕事に取り組んだ私自身をふり返り、今年を象徴する一文字としてこの漢字を選びました。”

”もちろん、内部の教職員どうしの結びつきだけでなく、生徒や保護者、小中学校や塾の先生、地域の方々など、滋賀学園とつながっている外部の全ての人たちとのいい関係づくりも、この漢字に込めたいと思います。”

”そういう意味では、入試広報関係でお世話になった中学や塾の先生方、あるいはM先生の関係で知り合わせていただいたリヒテルズ直子さんや、京都大学、京都教育大学、立命館大学の先生方、教育NPOの方々など、幅広く外部の方々とのご縁を結ばせていただけたのも今年の大きな収穫でした。”

”今年を表す漢字=今年最も必要で、その意味を改めて教職員全員が心に問いたい漢字だということで「結」。”

”教職員の一体感、人や地域とのつながりなくして、外部からの評価、滋賀学園の充実発展はあり得ません。”

☆評価はいかに?!

年が明けて、今年の仕事始め・・・。年初の職員会議の冒頭、理事長から訓話があり、その後、漢字一文字の表彰がありました。結果、みごと2年連続最優秀賞をいただくことができました。

2年連続ということで何か特別な配慮でもあるのか? と勘ぐる者がいるのでは・・・ということで、そのあたりも含めた《仕事に向かう真摯な姿勢》に強く踏み込んだお話があり、きわめて《真面目に一生懸命》取り組んだことを評価してくださったようです。

”理由が的を射ており、学園全体をよく見ておられる。”
”教職員、保護者や生徒、地域とのかかわりをよく理解されている。”

とてもありがたく、また今年一年、さらにがんばりたいと決意も新たにしました。

☆新任一年目の先生が3位に

また、昨年4月に新規採用となった先生が、学級通信のタイトルにしていた『絆』を今年の漢字に選び、3位になりました。偶然、メジャー発表の漢字と重なってしまったものの、学級担任として生徒たちに伝えたい気持ちを『絆』の一文字に託し、クラスの生徒に接してきたことを綴っていました。

”4月のはじめ、高校1年生の担任になるとわかったとき、私は、新しい友達をたくさん作るとともに、クラスの絆を深めてほしいとの思いを込めて、学級通信の名前を「絆」にしました。”

”高校1年生は、義務教育を終えて自分の道へ進む第一歩の大切な時期だと思います。社会へ通ずる大人になるためには、人と人との繋がりを大切にしていく必要があり、そのためには集団の中でお互いに助け合える関係を築ける人間性を育むことが第一歩だと思います。”

「大先輩の先生方に混じって、私がもらっていいんですか?」と、頬を赤らめて喜んでいた彼女・・・。

日々、迷いながらも子どもたちの成長を一途に願い、奮闘する姿を目に浮かべながら、今回の受賞がさらに仕事への意欲を高めていくんだろうなぁと思わずにはいられませんでした。

学園長の思いが、十分に伝わっている・・・。

さて、今年の課題はどうなるか。果たして3連覇は達成できるか? すべては今年一年のがんばりにかかっていると思います。多くの方々にご縁をいただきながら、全力で取り組んでいきたいと考えています。

みなさん、どうぞよろしくお願いします。

安居 長敏(やすい ながとし)

滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
私立高校で20年間教員を務めた後、コミュニティFMを2局設立、同時にパソコンサポート事業を起業。再び学校現場に戻り、21世紀型教育のモデルとなる実践をダイナミックに推進中。

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