2011.12.29
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冬休みに

北海道札幌養護学校 教諭 青木 一真

  札幌市内の小学校は12月22日から、僕の勤務校は12月27日から冬休みに入りました。これから1月23日までは長いお休みになります。毎年冬休み中は研修に費やすことが多いのですが、今年はいつもより多めに有休を消化するために使わせてもらおうかと考えています。教員として初めて勤めた土地では、冬場は暴風雪で休校となる事もあり、車で国道を走っていても自車のボンネットしか見えないような経験を何度もしました。毎日の通学に付きそう保護者の方も大変だっただろうと思います。夏場も20℃を少し超すくらいの気温でしたので、夏休みを全廃し冬休みに回せばなんて事を本気で考えてもいましたが。
 

 さて、子どもと過ごす時間が多くなることは僕にとっては嬉しいのですが、妻には少し気が重いのかなとも思います。土日を除き普段いない時間に子どもが家にいることで家事が滞ったり、給食がありませんのでお昼ご飯を1食(僕が休みを取れば2食も!)余分に作ることにもなります。それでも幼稚園にいた頃に比べると自分でできることもはるかに多いですし、負担感も少なくなった事とは思いますが。
 いままでお付き合いしてきた保護者の方もみなさん同じような事を言っていました。「早く休みが終わって欲しい」と。まあ。それだけ学校を大切に思って下さっていると思うとありがたいことですが、中には本音としては「保育」の役割を期待している方もいらっしゃるのかも知れません。公教育は無料の児童預かりサービス的な感覚で。過去に職場の同僚が発熱を隠し出席させた保護者を批判しつつ、我が子の発熱に伴う引き取り依頼を「ちょっとくらいで」と憤慨していたのを苦笑いしながら聞いていましたが、そういうものなんですよね。
 しかし、使える放課後サービスや休日のサービスが少ない土地や環境にある方もいらっしゃるので思いとしては切実と思います。「孤立化」しているような保護者の方もいらっしゃいます。お母さん一人で子どもに関わることを抱え込んでしまうような状況下では、対子どもの関係でも煮詰まってしまいますでしょうし、行動上の困難を抱えたお子さんの場合、お子さんの相手だけで一日のほとんどを費やしてしまい疲れ切ってしまうなんてことも。そこに無理解なパートナーから家事の滞り等を責められでもしたら負担感としては相当な物になるでしょう。勝手な物で「長期休業中は学校だけではできない経験を家庭でも」と求めたりする文章を目にすることがあります(僕も学級通信に書いたことがあります)。結局、できる家庭はできるでしょうし、できない家庭にはできない事を求めている気がします。経済的な事由もシビアに影響しますし、周囲のサポートもあるなしでは相当できることに違いが出てきます。
 学校の役割としては、孤立化しないよう地域の中に味方になってくれる人を見つける努力を普段から行うことが大切と思います。(休業中も学校が子どもたちを引き受けると言えば格好良いのでしょうが、僕は小さい人間なので体と心がもちません。)放課後や休日の過ごし方をしっかり押さえておき必要があれば手助けできるように。本来は市町村の福祉担当の窓口や障がい者相談センターがその役割を担ってくれます。札幌市の場合、市から委託されている相談センターが複数有り、居住区外であっても選べるようにはなっているのですが、逆にどこに行って良いのかわからないという方もいらっしゃいましたので、まずはそこをつなぐような意味で。冬休みの過ごし方も個別の教育支援計画が大切になるということですね。
 

 さて、我が家の冬休みの計画。家庭内子育て支援は頑張るつもりですが、ほぼノープラン。この原稿が載る頃には必死で年賀状づくりをしていることと思います。何事も計画は大切ですね。

青木 一真(あおき かずま)

北海道札幌養護学校 教諭
前任校では特別支援教育コーディネーターを3年間務めさせていただきました。昨年度、異動と共に久しぶりの学級担任に戻り右往左往。良い教育を迷いつつ模索する日々です。

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