2012.01.06
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ラジオ特別授業

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭 大谷 雅昭

 昨年末、地元FMラジオ局で、「ラジオ特別授業」という公開収録番組に参加してきました。これは、各界の著名人をスタジオに呼んで、司会のアナウンサーがゲストの活躍とその裏側にあるものなどを聞き出すとともに、視聴者からの質問やメッセージに答えることで構成された番組です。その収録は、抽選で選ばれた約100名を交えて、ラジオ局のスタジオで行われました。
 当日は、一番乗りで公開スタジオ入りし、最前列中央に座りました。そこは、ゲストに手が届くぐらいの距離感の所です。
 私がこの公開収録に参加してみたいと思ったわけは、2つあります。一つ目は、「ラジオ特別授業」というネーミングです。ただ楽しいと言うだけではなく、何か形態から学ぶものがあるのではないかと考えたからでした。もう一つは、一流のアスリートの生き様や考え方を直接聞き、その内容から学びたいと思ったからでした。

 さて、今回のゲストは、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんでした。収録の時刻になり、高橋さんがアナウンサーにエスコートされてスタジオ入りすると、思わず歓声が上がりました。
「うわー、本物だぁ!」
「確かにQちゃんだ。」
 テレビや写真では見たことがありますが、生で見るというのは感激するものです。この感覚は、コンサートや観劇などと同じものでしょう。「ライブ感」は、ゲスト・観客を問わず、空間と時間のすべてを共有することから生まれる一体感から来るものなのでしょう。
 私は、普段の授業で、こうした「ライブ感」を教師と子どもが共有できるようにしたいと思っています。

 収録の前半は、高橋尚子さんのアスリートとしての活躍を振り返りました。
 高橋さんは、中学校から陸上部に入り、高校の時に都道府県対抗女子駅伝に出場したことが、陸上選手として自分を育ててくれたと言っていました。その時の区間順位が47人中45位だったことが、「目標を持って、練習・努力する」きっかけになったそうです。また、「負けず嫌い」であったことも伸びた秘訣と話していました。ただ、この「負けず嫌い」は、『自分に負けたくない』というものであることを強調していました。

 次に、競技者となる転換点についての話がありました。大学時代に教師になるための教育実習を受けつつも、陸上を続けたいという思いがあったそうです。進路について悩む中、小出義雄監督との出会いが陸上へ進むことを決定づけたと言っていました。そして、小出監督の指導者として特筆すべき点を3つあげていました。一つ目は選手一人一人で指導法が異なっていること、二つ目は根気よく繰り返し指導をすること、三つ目は話術が巧みでやる気にさせるということです。
 この3点は、学校教育においても、子ども育てる教師のキーワードにしてもよいと思いました。

 2000年のシドニー五輪女子マラソンでの優勝、国民栄誉賞授与、翌年のベルリンマラソンで当時の世界新記録での優勝と活躍が続きましたが、その後、大きな目標を立てることが難しくなり、悩んだそうです。故障等もあり、走らない年もありましたが、「生きる意味」を感じるようになったと語っていました。
 そして、2005年の東京マラソンでの優勝。ここでは、『自分と自分を応援してくれる人への感謝のために走る』ということを目標とモチベーションにすることができたそうです。つまり、それは「生きる意味」の具現化でもあるとしたところが、印象的でした。
 これは、最高点を極めたアスリートだからこそ到達できた「究極の境地」ではないかと感じました。
 このことは、教育を超え、人間として学ぶべきことではないかと思いました。つまり、「走る」を「勉強する」「生きる」などに置き換えることができるからです。

 高橋尚子さんは現在、スポーツキャスターやマラソン解説者などとして活躍しています。そのほかにも、「スマイル・アフリカ・プロジェクト」という中古のシューズを集めてケニヤに送る活動や、北海道の「Qちゃんファーム」で野菜づくりも行っているそうです。
 こうした活動は、自分の視野を広げ、人間としての幅を大きくするためだと語っていました。
 
 公開収録は予定されていた90分を上回り、100分以上になりましたが、あっという間の時間でした。高橋尚子さんの熱い語りは聞く人を引き込む魅力もありました。もちろん、たくさん学ぶことがありました。

 2012年、私も教師としても、人間としても成長していきたいと思っています。そして、『自分と自分を応援してくれる人への感謝のために教師をしていきたい』と考えてます。
 

大谷 雅昭(おおたに まさあき)

群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
子どもと子どもたち、つまり個と集団を相乗効果で育てる独自の「まるごと教育」を進化させると共に、「教育の高速化運動」を推進しています。子ども自身が成長を実感し、自ら伸びていく様子もつれづれに綴っていきます。

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