6年生は、2学期に総合的な学習の時間の活動のひとつとして、お年寄りとの交流を行いました。
私と隣のクラスの十塚教諭は、夏休み中から話し合いを始め、どのような授業を組み立てるかを考えました。そして、10月の運動会が終わったころから、取り組みを始めました。
まず行ったのは、高齢者疑似体験と、車いす体験です。これは、東久留米市のボランティアのみなさんのお力をお借りしました。
高齢者疑似体験では、身体に重りをつけたり、手袋やメガネをつけたりすることによって、身体の不自由さを体験しました。階段を上り下りするときの苦労や、トイレでの動きにくさ、信号機の見えにくさなどを学ぶことができました。
それから、車いすを借りてきて、校庭で車いすに乗ったり押したりという体験をしました。段差があるところを通る困難さや、溝に車輪をとられてしまう心配などを知りました。
子どもたちは、普段の活動のときよりも、真剣な表情で学習していました。
その体験の後、近くの特別養護老人ホームを訪問する計画を立てました。デイサービスにいらしているお年寄りと交流会をもつための取り組みです。
そこで、子どもたちは、運動会で練習した南中ソーランを披露すること、音楽や詩を発表すること、一緒にゲームをすることなどを取り入れて、プログラムを作りました。そして、グループごとに練習して、準備を進めました。
お年寄りからの評判がよかったのは、ビンゴゲームと、誕生日当てゲームです。ビンゴゲームは、お年寄りの中に手の不自由な方が多かったため、自然とお手伝いをしたり、会話を交わしたりすることができました。
誕生日当てゲームは、算数の時間に学習した数表をもとに、マジックのようにお年寄りの方の誕生日を当てることができました。
それから、折り紙で作った飾り物のプレゼントや手紙も喜んでもらえました。
訪問前までは、子どもたちにとっては、ひいおじいちゃんや、ひいおばあちゃんにあたる年齢の方たちとの交流にイメージがわかず、まるで一年生と遊んでやるような優しさしか見せられなかった子どもたちですが、実際にお会いして多くのことを学んでくることができました。
自分たちが励まそうと思って出かけたのに、逆に「頑張ってね」と言われ、嬉しかったと語った子どもたちがたくさんいました。また、スタッフの方の動きや、施設の工夫について学んだ子どもたちもいました。
ただ、私は3月に亡くなった母を思い出してしまうから、たとえ仕事であっても訪問するのはつらかったです。
案の定、一日目の訪問では、お年寄りから笑顔を向けられると、母を思い出して涙があふれました。翌日にも訪問したのですが、今度は別れがつらいと泣かれてしまい、それにも涙をこぼしました。
しかしこれからも、機会があれば、子どもたちと一緒に訪問させていただきたいと思っています。
子どもたちの感想です。
「プレゼントを渡すとき、目を見るようにしました。そして、笑顔で渡しました。プレゼントをしたら、ありがとうと言ってくださったので、とても嬉しかったです」
「お年寄りのみなさんが、私たちが部屋に入っていくと拍手で迎えてくださいました。とてもびっくりしました。そして、ビンゴゲームの景品として折り紙で作った飾りをプレゼントしたら、かわいいとほめてくださったので、一生懸命に作ってよかったと思いました」

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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